歯周病(歯肉炎)治療
歯周病は、虫歯と並んで歯科の2大疾患と呼ばれ、歯を失う原因の約50%以上が歯周病を原因としています。虫歯は歯そのものに発生する疾患ですが、歯周病は文字の通り歯の周りの歯周組織に炎症が起こる疾患です。
歯周病は、大きく歯肉炎と狭義の歯周病に分けられます。
- 歯肉炎:炎症が歯肉に限局していて骨の吸収を伴わないもの
- 歯周病:炎症により歯槽骨の吸収を伴うもの。歯肉炎を放置することにより歯周病に進行します。
歯周病の初期症状
初期の症状として「口臭が強くなる」「歯磨きの際に出血する」などがあります。
歯周病は、歯がぐらぐらするなどの症状が出た時にはすでに手遅れになっている場合が多く、歯がぐらぐらしだす前に受診するかどうかで治癒できるがどうかが決まります。そのため早めの受診が必要です。
このような症状が出てきます
- 朝起きた時、口の中がネバネバする
- 歯を磨くときに、たまにあるいは毎回出血する
- 口臭が気になる
- 歯ぐきがむずがゆい、噛むと歯が痛い
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 上記症状に心当たりのありかたはぜひ当院にご相談ください。
きらら歯科での歯周病治療の流れ
歯周病は生活習慣病でもあるので、1本の歯だけが歯周病にかかるということはあまりなく、全体的に進行している場合が多いものです。
パノラマレントゲン(全体的にお口の中を写すことのできるもの)を撮影することにより、全体的な歯周病の進行度合いを確認します。
また症例や、患者様に応じて小型のフィルム(デンタルフィルムといいます)を10枚使用し、精密なレントゲン検査を行う場合もあります。
歯周ポケットを測定します
歯周ポケットは、ポケット探針(ポケットプローブ)という先の細い器具を使用して測定させて頂いております。
歯周ポケットは1歯につき、1点~6点程度確認させていただき、もっとも深い部分を数値として記載させていただきます。またウォーキングプロービングという全体的な最深部を測定する方法で、局所的な深いポケットの見落としがなるべくないように確認させていただいております。検査は痛くなく、軽くチクチクする程度です。
歯周ポケットとは
歯周病になるとポケットが深くなります。
- 健康:0.5mm~3mm
- 境界域:3ミリ
- 歯周病:4ミリ以上
現在の歯周病の進行度合いを説明します
検査ののちに、担当歯科衛生士により、患者様の歯周病の現在の状態を説明させていただきます。そして以下の件について詳しく説明させて頂きます。
①このまま放置するとどうなるのか
②治療はどのように行っていくのか
③メインテナンスの頻度について
ブラッシング方法のアドバイス、歯石除去を行います
患者様それぞれに適切なブラッシング方法、メインテナンス方法を歯科医師あるいは歯科衛生士よりアドバイスさせて頂いております。
歯石の除去を行い、必要に応じてSRPといって歯肉の内部の歯石の除去を行います。
歯周病は「8割の方が罹患」
歯周病は、日本人の成人の約8割の方がかかっているといわれる病気です。
歯周病の特徴は、かなり進行しないと痛みなどの症状が出ないというところです。そのため歯周病に罹患していても気づいていない方が多い病気です。昔は歯槽膿漏(しそうのうろう)と言っていましたが、最近では「膿が漏れるという字」のイメージが悪いこともあり、歯科医院では「歯周病」と言っています。
歯周病の自然治癒はありません
歯周病の治療は、先送りしても決して自然に治ることはありません。
歯周病は、放置することにより絶えず悪化していき歯を支えている骨が溶けてしまうと決してもとには戻りません。
もしあまりに多くの骨を失って、歯が大きくぐらつくようであればその歯を抜くしかありません。
歯を抜くことになる一番の原因は歯周病です。
歯周病は早期治療で完治します
きちんと予防、治療を行っていると歯周病によって歯を失うことはありません。治療をすることで感染を取り除き病気を抑えることができます。
歯周病の進行具合と治療法
歯周病初期の段階です。歯周病になると、歯ぐきの赤みや腫れ、出血、口臭といった症状が起こります。症状が重くなった場合、徐々に歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまい、最終的には歯が抜けてしまいます。歯周病が原因で歯が抜けてしまうと、噛む力が弱くなり、食べられるものの種類が限られてしまいます。
歯肉炎
歯肉炎(炎症により骨が溶けていない)は、歯周病に移行する手前の状態です。
治療法:ブラッシング指導・スケーリング・機械的歯面清掃(PMTC)
軽度歯周病
軽度の歯周病の場合、歯ぐきをきれいにし(歯石などを取る)、正しいブラッシングをすることで治すことが出来ます。
骨の吸収がそれほどないため完全に治癒(歯茎は下がりますが)させることが可能です。この段階で治療するとメインテナンスとブラッシングをしっかりすると一生ご自身の歯で食事が可能です。

治療法:ブラッシング指導・スケーリング・機械的歯面清掃(PMTC)・SRP
中等度歯周病
中程度の歯周病の場合、歯石の除去、ブラッシング、投薬などで治療が可能です。
歯周病の進行状況によっては、外科的な処置等、積極的な治療が必要となる場合があります。

治療法:ブラッシング指導・スケーリング・機械的歯面清掃(PMTC)・SRP・歯周外科処置・歯周再生治療
重度歯周病
外科的な処置など積極的な治療、又は、保存不可能と判断した場合は抜歯になる事もあります。この段階になると歯周病を直しても骨が回復するわけではないため完全しっかり噛めるようになるわけではありません。しかし早めに治療しないと抜けてしまうのは時間の問題でしょう。

治療法:ブラッシング指導・スケーリング・機械的歯面清掃(PMTC)・SRP・歯周外科処置・歯周再生治療・抜歯
歯周病の全身への影響
糖尿病
糖尿病を患っている人は、健康な人より歯周病にかかるリスクが高いこと、また、歯周病による炎症で生じる物質がインスリン(血糖値をコントロールする物質)の機能を低下させて糖尿病を悪化させる場合があることがわかってきています。
誤嚥性肺炎
食べ物や飲み物を飲み込むときに誤って食道ではなく気管から肺に入ってしまうことがあります。このとき歯周病菌がいっしょに肺に入り込み感染することで肺炎を起こすこともあります。
心臓病
歯周病による炎症が動脈硬化を進ませる場合があることがわかってきています。また、歯周病菌が心臓に運ばれ細菌性心内膜炎の原因になる場合もあります。
早産
血液中に入った歯周病菌が胎盤を刺激し胎児の成長に影響を与えることが要因の一つではないかといわれています