お電話はこちら:042-559-8849(番号を押すと発信)

メンテナンス|歯周病安定期治療

歯周病安定期治療(SPT: Supportive Periodontal Therapy)とは?

歯周病安定期治療(SPT)は、歯周病の基本治療(歯石除去やルートプレーニングなど)や外科治療を終えた後に、歯周病の再発を防ぎ、口腔内の健康を維持するために行う継続的な治療です。

歯周病安定期治療の目的

  1. 歯周病の再発予防
    • 歯周ポケット内の細菌の増殖を抑え、病状の悪化を防ぐ。
  2. 口腔内の健康維持
    • 定期的なプロフェッショナルケアで、患者自身のセルフケアを補完。
  3. 歯の寿命を延ばす
    • 長期的な視点で歯を保存し、抜歯を回避する。
  4. 全身の健康維持
    • 歯周病は糖尿病や心血管疾患と関連しているため、SPTは全身の健康にも貢献する。

SPTの概念

最近では「メインテナンス」という用語に代わって「サポーティブペリオドンタルセラピー(supportive periodontal therapy:SPT)」という用語を使うことが,国内外の歯周病学会から提唱されはじめています.。

SPTは、歯周病治療後の再発防止と、再発が起こってしまった場合に早い段階での適切な処置ができるための、連続的な経過観察と予防処置を行っていくことです。

歯周病のリスクが中程度から高いレベルの患者さんが対象になります。 治療期間は、年に数回ご来院いただききらら歯科では健診とメインテナンス処置(PMTC、歯石除去等)、清掃指導、フッ素塗布等を衛生士が中心に行なっています。

患者様の感覚で言うメインテナンスに当たります。

SPTの頻度

  • 一般的には3ヶ月に1回のペースで行うことが推奨されます。
  • 歯周病のリスクが高い場合は、1〜2ヶ月ごとに受診することも。

具体的な治療内容

1. プラーク・歯石の除去

  • スケーリングや超音波スケーラーを使用して、歯周ポケット内のプラークや歯石を除去。

2. バイオフィルムの破壊

  • PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)により、バイオフィルムを機械的に除去。

3. 歯周ポケットの検査

  • 定期的にプロービング(歯周ポケットの深さ測定)を行い、炎症の有無をチェック。

4. 噛み合わせの調整

  • 不正咬合が歯周病の進行を助長する場合、咬合調整を実施。

5. 生活習慣指導

  • ブラッシング指導、食生活のアドバイス、禁煙指導などを実施。

歯周病はメインテナンスが最も大切

歯周病は自覚症状が少ない病気で、腫れや出血、歯のぐらつきなどの症状に気付いた頃には状態が悪化し、治療に時間がかかったり、抜歯が必要となったりする深刻な病気です。

歯周病治療
歯周病治療

歯周病の進行度合いの一つの目安に、歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)の深さがあります。

中程度~重度の歯周病の場合、適切な治療を受け一時的に病状の安定がみられたとしても、歯周ポケットが深い状態のままであることもあります。

このような場合は、歯周病の再発が懸念されるため、安定した状態を維持するために継続して行う治療「SPT(えすぴーてぃー:supportive periodontal therapy)」へ移行することがあります。

当院は口腔機能管理体制の歯科医院です

厚生労働省より「 口腔管理体制強化加算(口管強)」に認定されている当院では、毎月のSPTに健康保険が適用されます。

口腔管理体制強化加算(口管強)

歯周ポケット3ミリで終了

SPTを継続した後、歯周組織の炎症は認められず、歯周ポケットは3mm以下(プロービング時の出血はない)、臨床的に歯周組織の健康が回復し、治癒と判定できた場合は、SPTは終了となります。その後は、歯周病重症化予防治療またはメンテナンス(健康管理)に移行します。

歯周病は完治しにくく、再発しやすい疾患です。そのため、治療後も継続的なSPTを受けることで、健康な口腔環境を維持し、歯を長持ちさせることが重要です。

SPT(サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー)の歴史

SPT(サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー:Supportive Periodontal Therapy)は、歯周治療後のメンテナンスとして確立された概念であり、特に歯周病の再発防止を目的とした長期的な管理プログラムです。その歴史を簡単に振り返ります。

  • 1970年代、スウェーデンのアクセルソン(Jan Lindhe)とLöe(Harald Löe)らの研究により、歯周病の予防には定期的なメンテナンスが不可欠であることが明らかになりました。研究では、プロフェッショナルケアを受けないと歯周病が再発し、歯の喪失リスクが高まることが示されました。
  • 1980年代になると、スウェーデンのアクセルソンとリンドヘによる長期研究により、歯周治療後の定期的なメンテナンスが歯の保存に大きく寄与することが証明されました。ここで、「サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー(SPT)」という名称が提唱され、歯周治療後の長期維持管理の重要性が明確化しました。
  • 1990年代になると多くの臨床研究が行われ、SPTが歯の長期保存に有効であることが証明される。SPTの具体的なプロトコル(定期的なスケーリング・SRP・口腔清掃指導)が確立される。米国やヨーロッパの歯周病学会(AAP・EFP)でも、SPTが歯周病管理の標準治療として推奨されるようになる。
  • 2000年代になると日本の歯周病学会や厚生労働省もSPTの重要性を認識し、保険診療におけるメンテナンスの充実化が図られる。

執筆者

渡部 和則

歯科医師。東北大学歯学部を卒業後、大手歯科医療法人で分院長を務め、歯科医療の最前線で豊富な臨床経験を積む。その後、東京都あきる野市に『きらら歯科』を開院し、歯科医師24名体制の総合歯科医院へと発展させる。専門領域は一般歯科、インプラント、矯正歯科など幅広く対応し、最新の歯科医療技術を積極的に導入。また、次世代の歯科医師の指導・育成にも力を注ぎ、歯科医療の水準向上に寄与している。
患者中心の医療を理念とし、高度な医療機器の導入とエビデンスに基づく診療を徹底し、質の高い治療を提供している。

【所属学会】
日本歯周病学会|日本補綴歯科学会|日本歯内療法学会|インビザライン認定医|日本先進インプラント研究会|日本口腔インプラント学会|インプラント再建歯学研究会

歯の健康情報を発信中!ぜひフォローお願いします。
歯の健康情報を発信中!ぜひフォローお願いします。