パーキンソン病に虫歯が関与している可能性

パーキンソン病に虫歯が関与している可能性があるとのニュースがありました。歯科医師としてこのニュースを分析してみたいと思います。

手足の震えなどが起きるパーキンソン病の進行に、体内のさまざまな炎症が影響していることを確かめたと、国立病院機構宇多野病院(京都市)の沢田秀幸臨床研究部長らのグループが発表した。論文は28日付の米科学誌プロスワンに掲載された。

研究グループはパーキンソン病患者313人を対象に、血液中のたんぱく質「CRP」の数値を平均約8年、最長で10年間追跡。生存率との関係を調べた。 CRP値は外傷や肺炎など、炎症が起きると上昇する。炎症性のけがや病気がない平常時にCRP値を測定した結果、数値が低い患者グループは10年間の生存率が約70%だったのに対し、高いグループは50%未満だった。

パーキンソン病は進行すると、筋肉のこわばりなどが原因で、誤嚥(ごえん)性肺炎や窒息で死亡するケースが多い。

がんなど他の病気による死亡例を除いた上で、患者の年齢などのばらつきを補正したところ、血中のCRP値が2倍になると、死亡リスクが約2割高まるという。

 沢田部長は「小さな虫歯など、体内のわずかな炎症が進行に影響を与えている可能性がある。

歯科医師として、小さな虫歯と書いてあるのですが、小さな虫歯単独ではあくまでも生きていない組織であるエナメル質にしか進行していないため炎症が起きるとは考えられません。しかしその状態で放置して、PER(根尖性歯周炎)になった場合にはCRPを高める可能性があると思います。そして急性期の以下の炎症はCRPを大幅に高めます。
智歯周囲炎
局所症状として歯肉の発赤、腫脹、圧痛、疼痛がみられ周囲組織に波及すると開口障害、嚥下痛、顎下リンパ節の腫脹と圧痛がみられます。全身症状として発熱、倦怠感、食欲不振がみられることがあります。
•顎骨骨髄炎
上顎骨骨髄炎の症状は炎症の初期から原因歯やその近くの歯の動揺、打診痛、拍動性の強い疼痛と38~39℃の発熱があり、全身倦怠感、食欲不振、不眠なども発現することがあります。

•蜂窩織炎(ほうかしきえん)
局所症状として好発部位である舌下部、顎下部、オトガイ下部、頬部の浮腫性腫脹、発赤、疼痛、開口障害、嚥下障害、所属リンパ節の腫脹や圧痛などがみられます。全身症状としては38℃以上の高い発熱、倦怠感、頭痛、食欲不振が発現します。重症例では呼吸困難や肺に膿がたまる膿胸、縦隔炎、敗血症などで死亡する可能性もあります。

•歯性上顎洞炎
通常は片側性で急性上顎洞炎では一般の急性化膿性炎と同様に発熱、全身倦怠感、食欲不振などが発現し、局所的には歯痛、頬部痛、扁桃痛、前額痛、眼窩下部の腫脹や圧痛が発現します。鼻症状として鼻漏、鼻閉、臭覚異常が発現することがあります。

またおそらく歯が原因としてCRPを高めるとすると歯周病の方が多いのではないかと歯科医師としては考えてしまいます。

そして先生は肺炎や骨折などは一時的にCRP値を大幅に高めるので、パーキンソン病患者は早めに治療してほしいと結んでいます。