知覚過敏(ちかくかびん)とは、エナメル質や歯ぐきに保護されている「象牙質」と呼ばれる組織が露出することで、冷たいものや甘いもの、酸っぱいもの、そして歯ブラシの刺激などで一過性の痛みを感じることをいいます。正式には「象牙質知覚過敏症」という病名になります。
知覚過敏を自宅で治せる?
知覚過敏を歯医者に行かないで治したい!という意見を良く伺います。知覚過敏を自宅で治せるのでしょうか?
結論から言うと、自宅でもご自身で知覚過敏を治せることもあります。
但し、知覚過敏の症状が軽度で、原因が虫歯や歯周病などの疾患と関連していない場合に限ります。
知覚過敏を自宅で治す方法
- 知覚過敏専用の歯磨き粉を使用する
- 歯磨きの方法を変えてみる
- 食事と生活習慣の見直し
知覚過敏専用の歯磨き粉を使用する
知覚過敏によって歯がしみる痛みを防ぎたい人は、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムが配合されている歯磨き粉がおすすめです。
硝酸カリウムは、象牙細管を通じて歯の神経に伝わる刺激を抑制する働きを持っています。
乳酸アルミニウムには、象牙質に空いている象牙細管という刺激を伝える通路にフタをする働きがあります。
神経を刺激しないよう保護するため、これらが含まれた歯磨き粉を使い続けることで、歯がしみるのを防ぐ効果が期待できます。
知覚過敏専用の歯磨き粉を使用してみてください
知覚過敏専用の歯磨き粉には多くの製品があり、それぞれ特徴や効果が異なります。以下に、2024年のおすすめランキングとその特長を紹介します。
1. シュミテクト コンプリートワンEX
• 特徴:知覚過敏の症状を抑えるだけでなく、虫歯予防、歯茎の健康維持、ホワイトニング効果など、トータルケアが可能。
• 成分:硝酸カリウム、高濃度フッ素配合。
• おすすめ理由:総合的なオーラルケアができ、使用感も良いと評価されています 。
2. メルサージュ ヒスケア ジェル
• 特徴:歯科専売のジェルタイプの歯磨き粉。知覚過敏、歯周病予防、虫歯予防が可能。
• 成分:硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、高濃度フッ素(1450ppm)、β-グリチルレチン酸。
• おすすめ理由:研磨剤無配合で、電動歯ブラシとの相性も良い 。
3. GUM プロケアハイパーセンシティブ 集中ケア
• 特徴:市販でも購入可能で、泡立ちが良く使いやすいペーストタイプ。
• 成分:硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、高濃度フッ素(1450ppm)。
• おすすめ理由:ドラッグストアで手軽に入手でき、知覚過敏を効果的に抑えることができる 。
4. システマ センシティブ
• 特徴:知覚過敏ケアとともに、歯周病予防にも力を入れた歯磨き粉。
• 成分:硝酸カリウム、トラネキサム酸、イソプロピルメチルフェノール。
• おすすめ理由:歯周病ケアと知覚過敏ケアを同時に行えるため、歯茎が弱っている人にもおすすめ 。
5. デントヘルス センシティブ
• 特徴:高い知覚過敏抑制効果と、歯茎の健康維持をサポート。
• 成分:硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、フッ素。
• おすすめ理由:知覚過敏の原因を根本から抑えつつ、歯茎のケアも可能 。
知覚過敏用の歯磨き粉を選ぶ際は、硝酸カリウムや乳酸アルミニウム、高濃度フッ素などの有効成分が含まれていること、研磨剤が含まれていないことを確認すると良いでしょう。また、虫歯や歯周病の予防成分が含まれているものを選ぶと、より総合的なオーラルケアが期待できます。
自宅での磨き方
自宅で治すにはシュミテクトなど硝酸カリウム入りの歯磨き粉を塗り薬の代わりとして凍みている所に塗るのも効果的です。薬用成分の硝酸カリウムの効果を十分発揮させるために約10分間うがいをしないでキープするとより効果的です。
悪化した知覚過敏のケースでも1ヶ月続ければ、殆どの場合知覚過敏は軽減していきます。
※シュミテクトは2週間使用すると約半分の方、4週間使用すると8割の方に効果がみられます。 ただ、症状の強さによっては4週間使用してもあまり効果がみられず、しみる症状が残ることがあります。
シュミテクトの使い方
①乾いた歯ブラシに1㎝程歯磨き粉をつけて歯全体をブラッシングする
②歯と歯茎の境目は強くブラッシングしてしまうと逆効果なので優しく磨く
③歯全体を丁寧にブラッシングできたら口をゆすぐ※この時少量の水で1,2回ゆすぐと薬用成分が歯に残るので効果的
④1日3回シュミテクトの歯磨き粉で歯ブラシする
※この時のポイントが、他の歯磨き粉を混ぜて使わないということです。歯磨き粉の中でも研磨剤が入っているものを使用するとせっかくのシュミテクトの効果を低下させてしまうことがあります。
歯磨きの方法を変えてみる
歯みがき時に過度の圧力をかけたり、硬い歯ブラシを使用することは、象牙質を損傷し、知覚過敏を悪化させる原因になります。適切な歯みがき法を学び、柔らかい歯ブラシを使用しましょう。
食事と生活習慣の見直し
酸性食品や飲料、高糖分の食品を制限することで、象牙質への刺激を減らすことができます。また、歯の噛みしめや歯ぎしりを防ぐためにストレス管理技術を採用することも役立つかもしれません。
それでも治らないときには歯科医院で
それでも治らない場合には歯科医院に行かれることをお勧めします。
薬物を塗布
露出した象牙質表面を保護する治療を行ったりします。象牙質にはたくさんの小さな穴(象牙細管)が空いているため、これらを封鎖し、神経に伝わる感覚を途切れさせることで、知覚過敏の症状を抑えることになります。
使用薬剤
- クリンプロホワイトバーニッシュ(お薦め)
- MSコート
- グルーマ
同じ目的で、再石灰化を助けるフッ素などが含まれた歯磨き剤を使う方法もあり、しばらく続けて使うことで症状の改善が期待できるといわれています。
従来薬物を塗布してもなかなか知覚過敏は改善しませんでしたが、クリンプロホワイトバーニッシュが国内に導入されてからは圧倒的に知覚過敏が改善するようになりました。
クリンプロホワイトバーニッシュ
当院では基本的にはクリンプロホワイトバーニッシュを知覚過敏に使用しております。
当院では、知覚過敏抑制剤「クリンプロ ホワイトバーニッシュF」を取り扱っております。
滞留性と耐酸性を併せ持つペースト状の薬剤で、筆で直接塗布し、塗布後の乾燥や洗口が不要というシンプルな使用法が特徴です。
知覚過敏の部位以外にも、初期むし歯や露出した歯の根元、矯正器具が触れている部分など、むし歯リスクの高い部位にも使用可能です。3M社が開発したクリンプロホワイトバーニッシュは確実に歯の表面の再石灰化を促します。今年に日本で認可された知覚過敏抑制ですが、実は海外では虫歯予防として主に使われています。
詰めて刺激を遮断
また、象牙質表面を樹脂の薄い膜で覆って保護する治療や、歯が擦り減っている部分には詰め物をする治療もあります。
マウスピースを作成する
歯ぎしりなどが原因で知覚過敏になっている方は、マウスピースをつけて治療を行うのが一般的です。