レオルソが適応する歯並びや咬み合わせの問題
プレオルソは、小児向けのマウスピース型矯正装置で、成長期の子どもに対して、歯並びや噛み合わせの問題を予防・改善する目的で使用されます。
従来のワイヤー矯正とは異なり、歯の位置を直接動かすのではなく、口腔周囲の筋肉や舌の位置、噛み合わせのバランスを整えることで、歯列の自然な成長、お顔の成長ををサポートできる治療法です。
プレオルソが効果的な症例
プレオルソは、特に以下のような不正咬合（噛み合わせの異常）に対して効果があります。
- 上顎前突（出っ歯）
上の前歯が前方に大きく突出している状態です。唇の筋肉が弱いことや、舌の位置の異常が原因となることが多く、プレオルソを使用することで唇や舌の筋肉バランスを整え、前歯の突出を抑えることができます。 - 下顎前突（受け口・反対咬合）
下の前歯が上の前歯より前に出ている状態で、一般的に「受け口」と呼ばれます。下顎が過度に前方に成長している場合や、舌の癖が影響しているケースに適応されます。プレオルソを使用することで、舌の位置を適正化し、上顎と下顎の成長バランスを調整します。
- 開咬（前歯が噛み合わない）
前歯が上下で噛み合わず、隙間ができてしまう状態です。指しゃぶりや舌を前に押し出す癖、口呼吸が原因となることが多いです。プレオルソを使用することで、これらの習癖を改善し、前歯が自然に噛み合うように導くことが可能です。
- 過蓋咬合（噛み合わせが深すぎる）
上の前歯が下の前歯を過剰に覆い隠してしまう状態で、下の前歯が見えなくなるほどの深い噛み合わせを指します。この状態が続くと、下の前歯が上の歯茎に当たり、傷つくこともあります。プレオルソは、咬筋のバランスを整えながら、前歯の適切な噛み合わせへと誘導します。
- 軽度の叢生（歯のデコボコ・乱ぐい歯）
歯が部分的に重なり合って生えている状態です。プレオルソは、歯列のアーチを拡大しながら、歯が自然に並ぶスペースを確保する役割を果たします。軽度の叢生には有効ですが、重度のケースでは他の矯正治療との併用が必要になります。
プレオルソが顎位のずれに効果的（上顎前突・下顎前突などに）なのは、上下のあごを適切な位置で固定できるためです。プレオルソは、上下の歯列を専用装置によって理想的なかみ合わせ位置に誘導し、その位置で上下のあごを安定的に固定します。結果として、プレオルソを使用することで上下のあごが本来あるべき位置に収まり、顎位のずれが解消され、正常な成長発育を促す効果が期待できるのです。
プレオルソの効果が期待できる条件
プレオルソの治療効果を最大限に発揮するためには、以下の条件が揃っていることが望ましいです。
- 5～10歳の成長期の子ども
プレオルソは、顎の成長を利用して歯並びを誘導する装置のため、成長期に開始することが重要です。特に6～8歳頃の使用が最適とされています。 - 口腔筋機能の改善が必要な症例
プレオルソは、歯を直接動かすのではなく、口周りの筋肉や舌の位置を改善することで、歯列の自然な成長を促します。そのため、口呼吸や舌の癖、唇の閉じ方の問題がある子どもに特に適しています。 - 毎日装着できること
プレオルソは取り外しが可能な装置のため、就寝時（寝ている間はずっとつけている）と日中1時間程度の装着が推奨されます。治療効果を得るためには、決められた時間をしっかり守ることが重要です。
プレオルソが向かないケース
プレオルソは万能ではなく、以下のような場合には適さないことがあります。
鼻呼吸出来ないお子様にプレオルソは向きません
プレオルソは鼻呼吸ができない子供には基本的には向いていません。その理由は、プレオルソが口を閉じた状態で装着するマウスピース型の矯正装置であり、装置使用中は自然と口が閉じられ、鼻呼吸が促されるためです。鼻呼吸が難しい子供が装着すると、呼吸が困難になり、装置の使用が難しくなります。
しかし、現時点で鼻呼吸ができない子供でも、耳鼻科的な治療や鼻づまりの改善指導を受け、鼻呼吸を可能な状態に改善してからプレオルソを使用するケースも多くあります。つまり、鼻呼吸が十分にできる状態が整ってから装置を使い始めることが一般的です。
その他プレオルソが向かないケース
- 重度の骨格的な不正咬合
顎の大きさや位置に大きなズレがある場合、プレオルソ単独での治療は難しく、外科矯正や固定式の矯正装置が必要になることがあります。 - 重度の叢生（八重歯・極端な歯列不正）
歯の重なりが大きい場合、プレオルソでは十分な歯の移動ができず、ワイヤー矯正や拡大装置を用いた治療が必要になります。 - 永久歯列完成後の矯正
プレオルソは、乳歯と永久歯が混在する時期の治療に適しており、永久歯が生え揃った後の矯正には向きません。 - 装着が困難な場合
プレオルソは取り外し式のため、装着時間を守らないと効果が得られません。装着を嫌がる子どもや、鼻呼吸ができない子ども、自己管理が難しい場合には、固定式の矯正装置を検討する必要があります。
まとめ
プレオルソは、小児期の歯並びや噛み合わせの異常を改善するための装置で、特に上顎前突（出っ歯）、下顎前突（受け口）、開咬、過蓋咬合、軽度の叢生に適しています。
歯を直接動かすのではなく、口腔周囲の筋肉や舌の動きを整えることで、歯列の自然な成長を促すのが特徴です。適応症例を正しく見極め、必要に応じて他の矯正治療と組み合わせることで、より良い歯並びの改善が期待できます。
