SRP|スケーリング・ルートプレーニング
ルートプレーニングとは、歯周病治療で行う歯根面の清掃処置です。歯石や細菌の感染によって歯根表面が汚染され、歯肉に炎症を起こしたり、歯を支える骨を溶かしたりするため、専用の器具を用いて歯根の表面を滑らかに整え、汚染物質を除去します。
これにより歯肉の炎症を抑え、歯周組織の回復を促し、歯周ポケットの改善を図ります。麻酔をして行うこともあり、治療後は歯周組織が健康な状態に戻ることを目的としています。
SRPの流れ
- 診査・診断
歯周ポケットの深さを測定し、歯周病の進行度を確認。必要に応じてレントゲン撮影を実施。 - スケーリング(歯石除去)
超音波スケーラーや手用スケーラーを使用し、歯の表面や歯周ポケット内の歯石を除去。 - ルートプレーニング
専用の器具を使い、歯根表面の歯石や細菌を徹底的に取り除き、滑らかにする。 - 消毒・仕上げ
抗菌薬や洗浄液を用いて口腔内を消毒し、炎症を抑える。 - 経過観察・メンテナンス
治療後2~4週間後に再評価を行い、歯周ポケットの深さや歯ぐきの状態を確認。必要に応じて追加処置を実施。
SRPの具体的な処置
スケーリングとは
スケーリングとは一般的な、歯に付着している歯石や着色などの除去を言います。初期の歯周病は歯磨きの徹底とスケーリングのみで完全に治癒します。以下のような超音波スケーラーを使用します。

ルートプレーニングとは
ルートプレーニング (root planing) とは、スケーリング終了後に、スケーラーを用い歯根表面の汚染・軟化されたセメント質や象牙質を除去し歯根面を硬く滑沢に仕上げることをいいます。歯の表面をつるつるにすることにより汚れの付着が起こりにくい表面正常に変化させます。写真の「グレーシーキュレット」を使用します。

SRPは中等度の歯周病のかたへの治療法です
あまりなじみのない言葉かもしれませんが、SRPは歯周病が中等度に進行している患者様に対して行う歯石除去の処置の1つです。
ルートプレーニングを行うことの意義
- 通常のスケーリングやブラッシングをしても治らない歯周病が改善します。
- プラークリテンションファクター(汚れが付きやすくなる因子)がなくなるため、歯肉の状況が改善します。
- 口臭が改善します
ルートプレーニングの欠点
- 歯茎の中に器具を入れるため通常の歯石取りよりも少しだけ痛みがあります
- 処置が終わった後しばらく知覚過敏の症状が出ることがあります。通常時間の経過とともに治癒しますが、場合によってはシュミテクト等の知覚過敏歯磨き粉をお勧めすることがあります
- ルートプレーニング後1日から2日、何もしていなくても痛みが出ることがあります。また噛んだときや歯磨きの際に痛みが出ることがあります。時間の経過とともに自然に治癒します。
どのような場合にSRPが必要となるか
スケーリングのみで治癒する状況
歯ぐきの中でもエナメル質に限局したレベルあるいは歯肉縁や歯肉縁下約3ミリ以内に付着した歯石のみの症例の場合には、スケーリングとブラッシング指導のみで歯周病を完治させることが可能です。
エナメル質は高度に石灰化しているため、歯石が完全にくっつくことがないためこの段階だとスケーリングのみで完治します。

ルートプレーニングが必要な場合
定期的にスケーリングを行っていなかった場合や、歯周病がすでに進行している状況で来院され、歯周病検査の際にポケットが4ミリを超えてくると、根部のセメント質の部分に歯石が強固に付着してきます。この歯石を歯肉の縁の下につく歯石ということから、縁下歯石(えんかしせき)といいます。縁下歯石は黒っぽい色がしていてセメント質と同一化し強固に付着しています。ルート(歯の根面)+プレーニング(滑沢・平らにする)
歯根面をキュレットを使用することで硬く滑沢に仕上げることで、歯周炎の原因を取り除き、歯肉の再付着を促すことになります。

ルートプレーニング後の注意点
1. 一時的な歯のしみ(知覚過敏)
- 歯石が除去されることで、一時的に歯がしみることがありますが、通常は数日~数週間で治まります。
- 知覚過敏用の歯磨き粉を使用すると、症状を軽減できます。

2. 出血や違和感
- 治療後、軽度の出血や違和感が数日続くことがありますが、これは正常な反応です。
- ただし、強い痛みや出血が長引く場合は、歯科医院に相談しましょう。
3. 適切なホームケアが重要
- 治療後も歯ブラシ・歯間ブラシ・フロスを使って丁寧にケアすることが重要です。