お電話はこちら:042-559-8849(番号を押すと発信)

叢生の一般的な治療の流れ

1. 初診相談・カウンセリング

  • まずは歯並びやかみ合わせのお悩みを伺います。
  • 簡易的な口腔内チェックや矯正治療の概要、費用の説明があります。
  • 不安な点や希望についてもここで相談可能です。

2. 精密検査

  • より正確な診断のために以下の検査を行います:
    • パノラマ・セファロレントゲン撮影・必要に応じてCT撮影
    • 歯型(印象採得または口腔内スキャン)
    • 顔貌・口腔内写真の撮影
  • 顎の大きさ、歯の本数、歯列の幅、かみ合わせなど多角的に評価します。

3. 治療計画の説明

  • 精密検査の結果をもとに、治療内容・期間・使用する装置(ワイヤーかマウスピースか)・抜歯の必要性などを説明。
  • 費用や支払い方法、注意点も詳しく案内されます。
  • 同意のもと、治療をスタートします。
  • スペースが不足している場合には、便宜抜歯を行う場合があります。

4. 矯正装置の装着

  • 一般的にはワイヤー矯正(マルチブラケット法)を使用。
  • 歯の表面にブラケットを接着し、ワイヤーを通して歯に持続的な力を加えます。
  • 装着時に痛みはほとんどありませんが、数日は違和感や軽い痛みが出る場合があります。

5. 定期的な調整(1か月ごとが目安)

  • 月に1回程度来院し、ワイヤーの交換や調整を行い、歯を段階的に理想的な位置へ移動させていきます。
  • 必要に応じてゴムかけ(顎間ゴム)やミニスクリュー(矯正用アンカースクリュー)を使用することもあります。

【矯正ワイヤー交換の一般的な順番(Ni-Ti → ステンレス)】

以下に022(オーツーツー)の場合のワイヤーの交換について。松風のワイヤーは上顎は3本のレーザー線下顎は1つのマーキングとなっている。

  1. 0.012インチ Ni-Ti(ニッケルチタンワイヤー)
    • 治療初期に使用される最も細く柔らかいワイヤー。
    • 丸い断面のワイヤーは「丸形(まるがた)」または「ラウンドワイヤー」と呼ばれ、主に治療初期に使用されます。
    • 重なりの強い歯や叢生のアライメント(歯の整列)に適しており、弱く持続的な力で歯を少しずつ動かす。
    • 痛みも少なく、歯周組織への負担が小さい。
    • 歯根膜をゆるめるために使用する
  2. 0.014インチ Ni-Ti
    • 初期のアライメントが進んできた段階で使用。
    • わずかに太くなり、もう少し強い力で歯を整列させる。
  3. 0.016インチ Ni-Ti
    • 歯列の不正がある程度改善された中期段階で使用。
    • 弾性を保ちつつ、より強い力で歯列を並べていく。
  4. 0.016(縦)×0.022(奥行)インチ Ni-Ti(レクタンギュラー・矩形ワイヤー)
    • 歯の軸方向(トルク)や歯の傾きをコントロールするための矩形ワイヤーに移行。
    • 「矩形(くけい)」とは、長方形のことを指します。矯正治療では、ワイヤーの断面形状が「矩形=四角形(長方形や正方形)」であることを意味します。
    • スロットにフィットしやすく、3次元的な歯の移動が可能になる。
  5. 0.017×0.025インチ Ni-Ti
    • 引き続きトルクコントロールや細かい調整を進める中〜後期に使用。
    • 必要に応じて、この段階でステンレスワイヤーに移行する場合もある。
  6. 0.019×0.025インチ ステンレススチールワイヤー(SS)
    • 矯正終盤に使われる剛性の高いワイヤー。
    • 歯列全体の細かな調整・仕上げ・固定に使用。
    • ゴムかけ(顎間ゴム)なども併用されることが多い。

✅ ワイヤーのマーキングとは?

矯正用の**プレフォームドアーチワイヤー(既成アーチワイヤー)**には、製造段階で「刻印」や「ライン(マーキング)」が入れられています。

これは、

  • 上下(上顎・下顎)
  • 表裏(歯列への向き)
  • 右左の識別
    一目で判断できるようにするための工夫です。

✅ なぜ上顎=3本、下顎=1本なのか?

マーキング本数理由
上顎3本線より目立つマーキングにして、上顎であることを明確に区別するため。通常、ワイヤーのアーチが広めで湾曲も強いため、識別が必要。
下顎1本線下顎ワイヤーは上顎よりもアーチが狭く、形状からもある程度判断できるが、間違いを防ぐための最低限の識別線として1本。

✅ 装着ミスを防ぐための工夫

  • ワイヤーは左右対称に見えても、実際には左右・上下で微妙な違いがあります。
  • 装着を間違えると、意図しない力が加わり、歯の移動に悪影響を及ぼすため、マーキングでの確認は必須です。
  • 特にスタッフや複数のドクターで治療を担当する大規模医院では、このマーキングが重要な識別手段となります。

✅ 実際の運用

  • ワイヤー中央にある刻印またはマークを見て、「上3本」「下1本」と覚える。
  • ワイヤーの袋にも「Upper(上顎用)」「Lower(下顎用)」と印刷されていることが多いが、開封後はマーキングで識別するのが確実

✅ まとめ

  • 上顎ワイヤー:3本線
  • 下顎ワイヤー:1本線

これは、誤装着を防ぐための標準的な識別方法です。ワイヤー形状だけでは判別が難しいため、視覚的なマーキングは臨床上非常に重要な役割を果たしています。

6. 治療完了・装置の取り外し

  • 歯が整列し、咬合も安定したら装置を取り外します。
  • この段階で歯のクリーニングやホワイトニングを行う方もいます。

7. 保定(リテーナー装着)

  • 動かした歯は元の位置に戻ろうとするため、保定装置(リテーナー)を使用します。
  • 固定式または取り外し式があり、一定期間は毎日装着が必要です。
  • 少なくとも1〜2年間は保定が推奨されます。

8. 定期チェック

  • 保定期間中も3〜6か月ごとの定期検診を行い、後戻りの有無やかみ合わせを確認します。

【治療期間の目安】

  • 矯正期間:1年半〜3年程度
  • 保定期間:1年〜2年程度

叢生の矯正治療は、歯を美しく並べるだけでなく、しっかり噛める機能的なかみ合わせを整えることが重要です。信頼できる矯正歯科での早期相談・診断をおすすめします。

シンチバックの必要性

✅ なぜワイヤーが飛び出すのか?

矯正初期、歯列はデコボコしており、ワイヤーは歯の重なりに沿ってたわんでいます。歯がきれいに並んでくると、その**たわみが解消されてワイヤーが“自然に後ろ(遠心側)へスライド”**しようとします。

このとき、ワイヤーの後端がバンドの奥から突き出て、頬や歯肉を傷つけるリスクが出てくるのです。


✅ シンチバックの役割

「シンチバック処理」をしておくことで、

  • ワイヤーが遠心(奥)へズレるのを防止
  • ワイヤー先端の飛び出しによる頬粘膜の痛みや傷を予防
  • ワイヤーが固定されることで歯の意図しない移動も防止

✅ シンチバックをしない場合に起こるリスク

■ 前歯のフレアー(flaring)

  • ワイヤーが後方(遠心側)へスライドしていくと、本来後ろに引くべき力が前方に分散してしまい、前歯が前に押し出されるような形で唇側に傾く=フレアーが起こることがあります。
  • 特に抜歯症例で前歯を引き込みたい段階では、このフレアーは治療計画にとってマイナスになります。

■ ワイヤーがずれて意図しない歯の動き

  • ワイヤーが動いてしまうと、コントロールしていた歯の移動が狂い、治療期間が延びる要因にもなります。

✅ 患者さんが感じる症状と対応例

症状原因対応
頬の内側が痛いワイヤーが後ろから飛び出たシンチバックで再処理/端をカット
ワイヤーがずれている感覚歯が整列し始めてたわみが消えた再調整と再固定が必要

✅ まとめ

矯正治療で歯が並び始めたときには、ワイヤーが飛び出す可能性があるため、「シンチバック処理」は安全かつ効率的な治療進行のために欠かせない操作です。
歯科医院側では定期調整時に必ずチェックし、患者さん自身も違和感があれば早めに申し出ることが大切です。

歯の健康情報を発信中!ぜひフォローお願いします。