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扁平苔癬(へんぺいたいせん)

扁平苔癬(へんぺいたいせん)は、皮膚や口腔粘膜などに発生する慢性的な炎症性疾患であり、自己免疫的な要素が関与していると考えられています。男女を問わず、主に中高年の女性に好発する疾患であり、発症原因は明確には解明されていませんが、ストレスや薬剤、金属アレルギー、遺伝的要素など複数の要因が関与している可能性が指摘されています。

【症状】

扁平苔癬の症状は、皮膚の場合と口腔粘膜の場合で異なります。

口腔粘膜に発生する扁平苔癬(口腔扁平苔癬)は、頬粘膜や歯肉、舌、口蓋などに現れます。白色の網目状またはレース状の病変が特徴的で、紅斑やびらんを伴うこともあります。特にびらん型では痛みを伴い、刺激性のある食品(酸っぱいものや辛いもの)を摂取する際に症状が悪化する傾向があります。

【診断】

扁平苔癬の診断は、特徴的な臨床症状をもとに行われますが、確定診断のためには病理組織学的検査(生検)が必要です。

病理検査では、特徴的な過角化や基底細胞層の液状変性、リンパ球主体の帯状の浸潤が観察されます。口腔内に発生した場合、口腔がんとの鑑別が重要であり、特にびらん型や潰瘍型の場合には慎重な診断と経過観察が求められます。

【治療】

口腔扁平苔癬の治療において、まずは口腔内の清潔を保つことが重要です。軽症の場合は経過観察のみで対応することもありますが、痛みや炎症が強い場合はステロイド含有軟膏の局所塗布ステロイド含有のうがい薬(デキサメタゾン含有洗口液など)の使用が一般的です。また、原因として歯科金属アレルギーが疑われる場合には、アレルギー検査を行い、該当する金属を除去することも考慮されます。

口腔扁平苔癬の治療でよく用いられるステロイド含有軟膏としては、以下のものがあります。

主なステロイド含有軟膏(口腔用)

  • ケナログ口腔用軟膏0.1%(一般名:トリアムシノロンアセトニド)
    • 最も頻繁に使用される口腔用ステロイド軟膏です。
    • 炎症や痛みを軽減する効果があります。
  • デキサルチン口腔用軟膏(一般名:デキサメタゾン)
    • デキサメタゾンを主成分としており、抗炎症作用が強く、疼痛を伴う口内炎やびらんの治療に用いられます。
  • オルテクサー口腔用軟膏(一般名:デキサメタゾン)
    • 強い抗炎症作用を有し、口腔内の炎症性疾患の治療に適しています。

使用上の注意点

  • 適切な量を病変部に薄く塗布し、使用回数は通常1日数回とします。
  • 長期使用では、口腔カンジダ症(真菌感染)を併発する可能性があるため、定期的な診察が必要です。
  • 症状改善後は、徐々に使用量を減らしていくことが推奨されます。

患者への指導ポイント

  • 軟膏塗布後は一定時間飲食を控えることで効果を維持できます。
  • 治療期間中は口腔内を清潔に保ち、刺激物(辛い食べ物、酸っぱい食べ物など)を避けるように指導します。

症状が重度の場合には、免疫抑制剤や内服ステロイドの投与を検討することもありますが、副作用のリスクがあるため慎重な適応判断が必要です。

【予後・経過】

扁平苔癬は慢性的に経過し、改善と再発を繰り返すことが多いため、長期間の経過観察が必要となります。特に口腔扁平苔癬では、稀にがん化(悪性化)するケースもあるため、定期的な検査が推奨されます。患者自身も症状の変化に注意を払い、異常を感じた場合は早期に医療機関を受診することが重要です。

【生活上の注意点】

扁平苔癬を管理する上で、日常生活においても注意が必要です。皮膚病変の場合は、皮膚を刺激する衣服や化学物質を避けることが推奨されます。口腔病変の場合は、辛いものや酸味の強い食品、アルコールなどの刺激物を控え、口腔内の清潔を維持することが症状の軽減につながります。

また、精神的ストレスが症状の悪化に影響するとされるため、ストレスマネジメントやリラクゼーション法の活用、適度な運動や十分な休息をとることも推奨されます。

扁平苔癬は日常生活に影響を与える疾患ですが、適切な診断と管理によって症状を軽減し、生活の質(QOL)を維持することが可能です。専門医による定期的なフォローアップを行いながら、長期的な視点で病気と向き合うことが重要です。

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