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歯茎が白い時の原因と対応

歯茎が白い時の原因と対応|きらら歯科

きらら歯科院長が歯茎が白くなることで疑われる主な病気・状態を挙げ、それぞれの特徴を説明します​。

考えられる病気

  • 口内炎(アフタ性口内炎): 口腔粘膜にできる小さな潰瘍で、中央が白っぽく凹み周囲が赤くなるのが典型的です。舌で触れたり飲食時に強い痛みを感じます​。原因は明確ではありませんが、ビタミン不足や不衛生な口内環境、ストレス、体調不良、入れ歯の擦れなどが誘因とされています。通常は3日~1週間程度で自然治癒します。
  • フィステル(歯根部膿瘍の排出路): 虫歯や根尖性歯周炎などで歯の根の先に膿が溜まった結果、歯茎にできる膿の出口です。歯茎に白いニキビ状の膨らみができ、指で押すと中から膿が出てくることがあります​。強い炎症があると痛みや腫れを伴います。原因の歯の根の感染を治療しない限り自然には治らないため、歯科での処置(感染根管治療または抜歯など)が必要です。
  • 白板症(はくばんしょう): 口腔内粘膜が局所的に角化・肥厚してこすっても取れない白い斑となる状態です​。慢性的な物理的刺激(不良な被せ物や合わない入れ歯、虫歯の尖りなど)や喫煙、アルコールがリスク因子と考えられています​。痛みなどの自覚症状は通常なく、自分では気づきにくいです。病変の約10%前後が口腔がんに移行する可能性が報告されており注意が必要です​。
  • 扁平苔癬 (へんぺいたいせん): 口腔内(おもに頬の粘膜)に生じる慢性炎症性疾患で、白いレース状または網目状の模様が現れるのが典型です​。まれに歯茎にも生じ、白く角化した部分やびらんを作ります。痛みなど自覚症状はケースによって様々で、全くない場合からしみるような痛みを伴う場合まであります​。原因ははっきりしませんが、ウイルス感染、金属アレルギー、薬剤アレルギーなどが誘因として指摘されています。扁平苔癬も一部で癌化の報告があるため、発見したら歯科受診が推奨されます。
  • 口腔カンジダ症: カンジダ菌という真菌(カビ)の過剰繁殖による口腔感染症です。歯茎や舌、頬粘膜に白いコケのような膜(カッテージチーズ状の白苔)が付着するのが特徴です。多くの場合かゆみや痛みはなく、粘膜の違和感程度ですが、無理に白い膜をこすり取ると下に炎症面が露出して出血することがあります。カンジダ菌は通常誰の口の中にもいる常在菌ですが、免疫低下時(糖尿病、ステロイド使用中、抗生物質長期使用、HIV感染など)に発症しやすくなります。
  • ウイルス感染症: ヘルペス性歯肉口内炎、手足口病、ヘルパンギーナなど、口の中に症状が出るウイルス感染があります​。これらでは歯茎や口腔粘膜に小さな水疱や潰瘍が多数現れ、灰白色に見えることがありま。強い痛みとともに発熱や倦怠感など全身症状を伴う場合が多く、幼児から大人まで発症し得ます​。ウイルス感染が原因の場合、基本的にはウイルス自体の治癒を待つことになり、歯科より内科的な対応(抗ウイルス薬の処方など)が行われます。
  • 歯肉がん・口腔がん: 歯茎を含む口腔粘膜にできる悪性腫瘍です。初期には口内炎や歯周病と区別がつかない白っぽい斑点や小潰瘍から始まることがあります​。普通の口内炎なら1~2週間で治癒しますが、がんの場合は潰瘍が治らず次第に大きくなる、硬いしこりに変化する、出血しやすくなる等の特徴があります。代表的な発生部位は歯肉(歯肉がん)、舌、口腔底などです。早期発見できれば治療可能な疾患なので、2週間以上治らない白い病変があればすぐ専門医に診せる必要があります​。
  • 歯周病(壊死性潰瘍性歯肉炎を含む): 一般的な慢性歯周病では歯茎は赤く腫れるのが普通ですが、重症化したり特殊なタイプでは白く見えることもあります​。とくに壊死性潰瘍性歯肉炎(急性壊死性潰瘍性歯周炎)は特殊な歯周病で、歯間乳頭(歯と歯の間の歯茎)が壊死して潰瘍を形成し、歯茎が白濁(灰白色)して激しい痛みと出血を伴う重篤な病気です。ストレスや栄養不良が誘因とされ、免疫力の低い人(HIV感染者、白血病患者など)に多くみられます。放置すれば急速に周囲組織に波及するため、早急な治療が必要です。

以上が、歯茎の白さから考えられる主な病気や状態です。

緊急性の判断基準

歯茎が白くなった場合、「すぐ受診すべきか、少し様子を見てよいか」の判断が重要です。一般的な 緊急度の高い症状経過観察が可能な症状 の目安を示します。

緊急に受診が必要と考えられるケース

次のような場合は深刻な病気の可能性があるため、できるだけ早く歯科受診してください。

  • 激しい痛み・出血を伴う: 歯茎の白い部分に強い痛みがあり、出血や膿が出ている場合、急性の感染症(壊死性歯肉炎や深い膿瘍など)が疑われます。高熱を伴う場合や、痛みで食事も困難な場合も同様です。
  • 白い潰瘍や斑点が2週間以上治らない: 通常の口内炎なら1~2週間で治るのに、それ以上経っても治癒せずむしろ大きくなっている場合は口腔がんの可能性があります。特に潰瘍が硬く盛り上がってきたり、周囲のリンパ節(首筋)が腫れている場合は早急な検査が必要です。
  • 広範囲に白い膜ができている: 歯茎だけでなく舌や頬の粘膜など口腔内の広い範囲に白い膜や斑点が多発している場合、カンジダ症などの全身的な原因や重い粘膜疾患が考えられます。放置せず受診し、原因を調べるべきです。
  • 硬いしこりを触れる: 白い変色部位に硬結(しこり)を触れる場合や、歯茎の白い腫れがどんどん大きくなる場合は重大です。歯肉がんなどの疑いがあるため一刻も早く専門医で検査を受けましょう。
  • 全身症状を伴う: 歯茎の白さに加えて発熱、倦怠感、めまいなど全身の不調が見られる場合​、全身的な病気(貧血の重症化やウイルス感染症など)が背景にあるかもしれません。まず内科やかかりつけ医に相談し、必要なら歯科とも連携して診てもらいましょう。

数日~経過観察が可能と考えられるケース

次のような場合は、すぐに緊急受診しなくても経過観察しつつ様子を見ることができます。ただし 症状が悪化したり1~2週間で改善しない場合 は受診を検討してください​。

  • 痛みのない小さな白斑: 白板症や軽度の粘膜炎症で痛みがない小さな白い斑点の場合、自覚症状が乏しければ短期間様子見となることもあります。ただし前述の通り白板症は放置せず早めに受診するのが望ましいため、基本は早めの診断を受けましょう。
  • 明らかな口内炎で経過が典型的: 過去にも経験のある口内炎と思われ、痛みはあるが大きさが一定で徐々に治りつつある場合は、数日様子を見ても構いません。市販の口内炎治療薬で対応しながら経過を見て、1~2週間で治癒するか確認します​。
  • 一時的な要因が考えられる: 冷たい物を摂った直後だけ歯茎が白っぽくなる、あるいは一時的な貧血で顔色とともに歯茎が青白くなった、といった一過性の変化で元に戻る場合は緊急性は高くありません。​。ただし、再発する場合は原因を調べる必要があります。

以上の基準はあくまで目安です。「歯茎が白いのはおかしいな」と感じたら、自己判断せず早めに歯科医院を受診して相談するのが安全策です​。次に、実際に歯科医院で行われる診断方法と治療法について説明します。

歯科医院での治療法

  • 口内炎・軽い炎症の場合: 痛みが強ければ歯科で塗り薬(口内炎用軟膏)を処方されたり、レーザー照射による疼痛緩和処置が行われることがあります。多くの口内炎は時間経過で治るため、刺激物を避け口腔内を清潔に保つよう指導されます。再発を繰り返す場合は栄養指導や必要に応じて内科的検査も行われます。
  • 壊死性歯肉炎の場合: 歯石除去や患部の清掃などの専門的なクリーニングが第一選択です​。壊死性歯肉炎では痛みが強いため細菌感染に対して抗生物質の投与が行われます。その後の再発予防のため、正しいブラッシング方法の指導や抗菌性うがい薬の使用も重要です。重症例では院治療が検討されます。
  • フィステル(歯根の膿)の場合: 原因となっている歯の根管治療の再治療や、進行具合によっては抜歯などで感染源を取り除きます​。膿の袋(嚢胞)が大きい場合は外科的に摘出することもあります。
  • 白板症・扁平苔癬の場合: まずは刺激の原因を取り除く治療が行われます。たとえば合わない義歯や鋭利な歯の部分があれば調整し、喫煙者には禁煙指導がなされます。病変部位が小さければ経過観察となることもありますが、範囲が広い場合や組織検査で異常細胞が見られた場合には外科的切除やレーザー蒸散療法が検討されます。また扁平苔癬で症状が強い時は、副腎皮質ステロイド薬含有の口腔用軟膏うがい薬が処方され、症状の緩和を図ります​。
  • 口腔カンジダ症の場合: 抗真菌薬による治療が必要です。一般的にはナystatin(ナイスタチン)の含嗽薬やミコナゾールゲルなどの抗真菌薬の塗布を行います。
  • ウイルス感染症の場合: ヘルペス感染には抗ヘルペス薬(アシクロビル等)の内服や軟膏が処方されます。手足口病やヘルパンギーナなど一般的なウイルス性咽頭炎の場合は対症療法(痛み止めやうがい)で自然治癒を待ちます。歯科医院で特別な処置をすることは少なく、必要に応じて内科や小児科への受診案内となります。
  • 口腔がんの場合: 歯科口腔外科やがん専門医療機関に紹介した上で外科手術や放射線療法・化学療法などの集学的治療が行われます。早期であれば外科的切除のみで根治が期待できます。

執筆者

以上のように、歯科では原因に応じた専門的な診断・治療が行われます。次に、自宅でできるケアや応急処置について説明します。歯茎が白くなったら「様子を見て大丈夫かな?」と悩まず、早めに専門家に相談する習慣を持つことで、大事に至る前に適切な対応ができます​。

渡部 和則

歯科医師。東北大学歯学部を卒業後、大手歯科医療法人で分院長を務め、歯科医療の最前線で豊富な臨床経験を積む。その後、東京都あきる野市に『きらら歯科』を開院し、歯科医師24名体制の総合歯科医院へと発展させる。専門領域は一般歯科、インプラント、矯正歯科など幅広く対応し、最新の歯科医療技術を積極的に導入。また、次世代の歯科医師の指導・育成にも力を注ぎ、歯科医療の水準向上に寄与している。
患者中心の医療を理念とし、高度な医療機器の導入とエビデンスに基づく診療を徹底し、質の高い治療を提供している。

【所属学会】
日本歯周病学会|日本補綴歯科学会|日本歯内療法学会|インビザライン認定医|日本先進インプラント研究会|日本口腔インプラント学会|インプラント再建歯学研究会

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