三叉神経痛の症状
三叉神経痛(さんさしんけいつう)は、顔の一部に突発的で強烈な痛みが生じる疾患です。顔面の感覚を司る三叉神経(第5脳神経)が何かしらの原因で圧迫や刺激を受けることで発症します。主な症状は以下の通りです。
激しい電撃痛
- 突然、電気が走るような鋭い痛みが顔の一部に発生します。
- 痛みの持続時間は数秒から2分程度と短いものの、繰り返し発生することが多いです。
- 1日に何度も発作が起こることがあり、ひどい場合は頻回に繰り返されます。
片側の顔の特定の部位に痛みが出る
- 通常、顔の片側にのみ発生します。(両側に起こることは極めてまれ)
- 痛みが出やすい部位
- 上顎や下顎(歯・歯ぐき・頬・顎)
- 目の周囲や額(比較的まれ)
きっかけ(トリガー)で痛みが誘発される
三叉神経痛では、日常の何気ない動作で発作が誘発されることがあります。
- 歯磨き
- 洗顔
- 食事・咀嚼
- 会話・笑う
- 風が顔に当たる
- ひげ剃り
- メイクをする
このため、患者さんの中には歯磨きや食事を避けるようになり、生活に大きな支障をきたすこともあります。
痛みの特徴
- 突発的に発生し、しばらくすると何事もなかったかのように痛みが消える
- 発作的に繰り返す
- 夜間は痛みが少ないことが多い
- 鎮痛剤(市販の痛み止め)が効きにくい
進行すると症状が悪化
- 初期は間欠的に痛みが発生するが、時間が経つにつれて発作の頻度が増加
- 痛みの持続時間が長くなったり、トリガーなしで痛みが出ることもある
- 進行すると、痛みによるストレスで食事や会話を避けるようになり、生活の質が低下することも
関連疾患との鑑別方法
- 歯の痛みと間違えられることが多い
→ 特に奥歯や犬歯周辺の痛みがあると、歯科で受診されることが多いですが、歯の治療をしても改善しない場合は三叉神経痛を疑う必要があります。 - 片頭痛や群発頭痛とは異なり、顔の特定の部分のみ痛む
- 帯状疱疹後神経痛(同じく顔に痛みが出るが、水疱の既往がある)
三叉神経痛の特徴的なポイント
三叉神経痛は、顔の片側に突発的な鋭い痛みが生じ、日常動作によって誘発されるのが特徴です。歯の痛みと誤認されることも多いため、長期間歯科治療を受けても改善しない場合は、神経内科や脳神経外科の受診が推奨されます。
✅ 顔の片側に限定された電撃痛
✅ 短時間の発作が繰り返される
✅ 日常の動作(食事、歯磨き、風など)で痛みが誘発される
✅ 鎮痛薬が効きにくい
診断基準(国際頭痛分類)
三叉神経痛の診断は、「国際頭痛分類(ICHD-3)」の診断基準を満たすかどうかで確定します。以下のすべてを満たす場合、三叉神経痛と診断される
- 三叉神経の支配領域に限定された痛み
- 突発的な電撃様の激痛(発作的)
- 持続時間は1回あたり1秒~2分以内
- 繰り返し発生する
- トリガー(誘発因子)が存在する
- 他の疾患による痛みではない(MRI等で他の原因を除外)