矯正歯科における「オーダーベンド(Order Bend)」とは、ワイヤーを曲げることで、歯を意図した方向へ精密に動かすためのテクニックです。特にエッジワイズ法など、矯正治療の仕上げ段階で行われます。
オーダーベンドの種類(基本的な3つ)
矯正用ワイヤーは3次元的な調整を行いますが、次の3種類の調整(ベンド)があります。
1. ファーストオーダーベンド(1st Order Bend)
• 歯の頬舌側の位置を決めます
• 歯の排列(叢生や隙間)を整える目的で使われます。
2. セカンドオーダーベンド
• 近遠心方向の傾斜を決めます。
3. サードオーダーベンド
• 歯根のトルクの調整を行うためのベンド(ねじれの調整)。
「オーダーベンド」の役割と特徴
• オーダーベンドは、矯正治療の仕上げ段階で特に重要。
• 個々の歯の細かなズレを微調整し、理想的な咬合(かみ合わせ)を作るために行われる。
• 最近のストレートワイヤー法(MBT法など)ではブラケットに予め適切な角度が組み込まれ、オーダーベンドの必要性は大幅に減っていますが、微調整には依然として必要になることがあります。
オーダーベンドが求められるケース
• 歯の挺出・圧下を精密に行いたい場合
• 傾斜や捻転を詳細に調整する場合
• ブラケットやワイヤーだけでは調整しきれない微妙な仕上げを行う場合
最近の傾向
• MBT法などのストレートワイヤーテクニックの普及により、従来に比べてオーダーベンドを行う頻度は減少。
• しかし、症例によっては今なお重要なテクニックとして使われています。
まとめ
オーダーベンドは矯正治療の最終的な「仕上げ調整」であり、理想的な咬合を実現するための歯科医師の高い技術が求められる工程です。
その通りです。MBT法(マクラフリン・ベネット・トレビシ法)では、ブラケット自体にあらかじめ理想的なトルク、アンギュレーション、インアウトが設定されているため、従来のエッジワイズ法で行われていた「オーダーベンド(ワイヤーを細かく曲げる調整)」の頻度を大幅に減らすことができます。
なぜMBT法ではオーダーベンドが少ないか?
• ブラケットがあらかじめ理想の角度を持っている(ストレートワイヤー方式)
• 歯科医師がワイヤーを細かく曲げる作業(ベンディング)をせずに歯の精密なコントロールが可能
• スライディングメカニクスを利用することで、仕上げ調整が簡略化・効率化されています。
現状の臨床での扱い
• 現代のMBT法(マクローリン・ベネット・トレビシ法)では、基本的にはオーダーベンドの必要性が少なくなっています。
• ただし、微調整が必要な一部の難症例や特殊なケースでは、最終段階でオーダーベンドを併用することもあります。
結論
MBT法は、「オーダーベンドがほぼ不要」という点が最大の特徴の一つであり、矯正治療の効率化や治療期間の短縮化につながっています。