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エッジワイズ法

エッジワイズとは矯正歯科専門用語です

エッジワイズ(Edgewise)」とは、矯正歯科で使われる専門用語で、主に「エッジワイズ法(Edgewise technique)」を指します。

エッジワイズ法とは

歯科矯正治療の中で、最も基本的かつ一般的な固定式矯正治療法の一つで、以下の特徴があります。

• ブラケットの溝(スロット)が歯の近遠心方向に対して水平方向(エッジ側、すなわち薄い縁側)に設置されるため、この名称があります。

• 歯に接着されたブラケットにワイヤーを通して歯を三次元的にコントロールします。

• 治療に使用するワイヤーを調整(ベンド:曲げること)することで、精密な歯の移動や角度調整が可能です。

エッジワイズ法の特徴

• 個々の歯を三次元的に精密にコントロールできる。

• ワイヤーを曲げる技術が重要なため、歯科医師のスキルや経験が求められる。

• 現在では、「ストレートワイヤー法(Straight-wire)」と呼ばれるエッジワイズ法の改良型(予めブラケットに角度がついたタイプ)も普及しています。

エッジワイズ法の種類

• 標準エッジワイズ法(スタンダードエッジワイズ)

• ストレートワイヤー法(プリアジャストエッジワイズ法、MBT法、ロス法など)

特に現在の主流はストレートワイヤー法で、歯科医師の調整負担が軽減され、治療効率が向上しています。

エッジワイズブラケットとは

エッジワイズブラケットは、歯科矯正治療において歯の表面に装着し、ワイヤーを通して歯の三次元的移動を可能にするブラケットです。名前の由来は、ワイヤーを通すスロット(溝)が水平方向(エッジの側)に配置されていることにあります。

ブラケットの構造と部位の名称

エッジワイズブラケットは以下のような構造をしています。

1. ベース(ブラケットベース)

• 歯面に接着する部分。

• 歯との接着力を高めるため、網目状(メッシュ)やレーザー加工が施されています。

2. スロット(ワイヤースロット)

• ブラケット中央部にある細長い溝で、ここにワイヤーが通ります。

• 一般的には 0.018インチ(0.457mm)または0.022インチ(0.559mm) のサイズが主流。

3. タイウイング(Tie wing、結紮翼)

• ワイヤーをブラケットに固定するための翼状の構造です。

• 結紮線やエラスティックをかける部分で、上下に2つずつ、合計4つあることが多いです(ツインブラケットの場合)。

4. フック(Hook)

• エラスティックやチェーンゴムをかけるための小さな突起。

• 必要に応じて、犬歯部などに付いていることがあります。

エッジワイズブラケットの材質

• ステンレススチール(最も一般的で強度が高い)

• セラミック(審美ブラケット)(目立ちにくい、審美性重視)

• プラスチック・レジン系(審美性はあるが強度や摩擦抵抗でやや劣る)

• チタン製(アレルギー対応などで使用されることもある)

エッジワイズブラケットの特徴

• ブラケット自体に歯を三次元的にコントロールする角度(トルク、アンギュレーション)が組み込まれているものが多い(MBT法などストレートワイヤー法)。

• 治療の初期から仕上げまで、ワイヤーサイズや形状を変えることで、精密な歯のコントロールが可能。

現在主流のMBT型エッジワイズブラケットとは?

• MBT法(マクローリン・ベネット・トレビシ法)で使われるエッジワイズブラケットは、スロットの中にあらかじめ歯の理想的な角度が設定されています。

• ワイヤーを曲げる作業(ベンディング)が少なく、スライディングメカニクス(ワイヤーがスロット内でスライドする)で効率的に歯を移動させます。

まとめ(構造の要点)

• ベース:歯への接着面(メッシュ構造)

• スロット:水平に溝がありワイヤーを通す(サイズ:0.018または0.022インチ)

• タイウイング:ワイヤー固定用の翼状の突起

• フック:ゴム掛け用の小さなフック(犬歯部等)

これらがエッジワイズブラケットの基本構造と特徴になります。

エッジワイズ法の改良

「エッジワイズ法」を改良した治療法の一つが、『マクローリン・ベネット・トレビシ(MBT)法』と呼ばれるものであり、この治療法を考案した先生方の一人がマクローリン(McLaughlin)です。

リチャード・マクローリン(Richard P. McLaughlin)は、米国サンディエゴを拠点とする著名な矯正専門医。MBT法(マクローリン・ベネット・トレビシ法)を共同開発した第一人者。効率的な歯の移動を可能にするスライディングメカニクスを提唱し、世界的に影響力を持つ。

その中で使われる技術を「エッジワイズ」に対して『スライディングメカニクス(Sliding Mechanics)』または『エッジワイズブラケットによるスライディングメカニクス』と言います。

日本の歯科界では、『エッジワイズ』に対して「エッジワイズ法」と言い、『エッジワイズ装置(ブラケット)』を用いた『マクローリンのテクニック』という意味で、『エッジワイズ』=『マクローリンの矯正治療法(エッジワイズストレートワイヤーテクニック)』として用いられることがあります。

ヒューゴ・トレビシ(Hugo Trevisi)は、ブラジル出身の矯正専門医で、マクラフリン、ベネットと共にMBT法を開発しました。特に「スライディングメカニクス」の臨床的応用に精通し、ブラケットとワイヤーの摩擦を最小化して効率的な歯の移動を追求しました。

マクローリン法(MBT法)の特徴

• ストレートワイヤー法(Straight-wire technique)の一種。

• ブラケット自体に歯の適正な角度が組み込まれているため、ベンドをほとんどしなくても歯が整いやすい。

• 治療の簡略化、スピード化を実現。

スライディングメカニクス(Sliding Mechanics)

マクラフリン法(MBT法)で主に採用される矯正のテクニックです。ブラケット上をワイヤーがスライド(滑る)することで、効率よく歯を動かします。これを『エッジワイズ装置』に応用した治療法が「エッジワイズブラケットを用いたスライディングメカニクス」となり、通称で「エッジワイズ」と呼ばれることもあります。

スライディングメカニクスまとめ

エッジワイズ法 は歯科矯正の基本的な手法。マクローリンらが改良したMBT法(マクラフリン法) は、エッジワイズ法を改良したストレートワイヤー法の代表的手法。スライディングメカニクス はマクローリンが提唱した効率的な歯の移動方法で、ブラケット上でワイヤーが滑る(スライドする)ことで歯を動かします。一般に『エッジワイズ』と矯正医が言った場合は、『エッジワイズ法』もしくは『MBT法(マクローリン法)』を指していることが多いです。

MBT法を「マクローリンベネット法」と呼ぶことがある理由

理由① 知名度の問題

• MBT法を開発したのはマクローリン(McLaughlin)、ベネット(Bennett)、トレビシ(Trevisi)の3人ですが、特にマクローリンとベネットの二人は世界的に非常に著名で、多くの矯正歯科医が直接指導を受けたことから、この二人の名前だけで呼ばれることが多くなりました。

理由② 地域的・言語的要因

• 特に日本では、マクローリンとベネットの名前が早期から普及し、矯正医の間で浸透したため、『マクローリンベネット法』として定着しました。

• トレビシ先生はブラジル出身であり、ブラジルや南米、ラテン圏ではよく知られていますが、日本や欧米において知名度が相対的に低かったため、名前が省略される傾向にありました。

理由③ 臨床的役割の違い

• トレビシ先生はMBT法の「スライディングメカニクス」の技術開発で重要な役割を果たしましたが、装置設計やコンセプトの理論面ではマクローリン・ベネットの貢が大きく、実際の教育や著作でも二人が前面に立つ機会が多かったためです。

結論

トレビシ先生もMBT法に大きく貢献していますが、知名度や普及過程から、「マクローリンベネット法」という略称が広まったのです。ただ正式には「マクローリン・ベネット・トレビシ法(MBT法)」と3名の名前で呼ぶことが一般的であり、現在ではトレビシ先生の功績もしっかり認知されています。

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