虫歯や歯周病が口臭のメインの原因です
むし歯や歯周病は、どちらも 細菌が原因で発生する感染症 であり、その進行に伴い強い口臭が生じることがあります。口臭の多くは、細菌がタンパク質を分解する際に発生する VSC(揮発性硫黄化合物) によるもので、むし歯・歯周病ではこの産生が増えるためです。
まず むし歯では、歯の穴に食べかすや汚れが溜まりやすく、酸素の少ない環境を好む嫌気性菌が増殖します。むし歯が深くなると神経が炎症を起こし、さらには壊死すると、歯の内部から腐敗臭のような強いにおいが発生します。また、痛みで歯磨きが不十分になると汚れが停滞し、さらに臭いが強くなります。
一方 歯周病では、歯周ポケットの中で嫌気性菌が大量に増え、歯肉の炎症・出血・膿が発生します。この膿や血液、破壊された組織を細菌が分解することで、非常に臭いVSCが多量に作られます。歯周病は自覚症状が少ないまま進行するため、気づいた時には強い口臭が出ている場合も珍しくありません。
さらに、むし歯や歯周病があると 舌苔の増加や唾液量の減少 も招き、細菌がさらに繁殖しやすくなります。
つまり、むし歯や歯周病は 細菌の増殖・組織の破壊・膿の産生 を通じて口臭を強くする疾患です。治療とあわせて定期的なクリーニングや舌清掃を行うことで、口臭は大幅に改善できます。
健康な人の口臭原因は舌にあり
健康な方の口臭(生理的口臭)は、舌についた汚れである舌苔(ぜったい)が主な原因といわれています。
口臭を予防には、「舌みがき」で舌苔を除去するのが効果的です。歯みがきの後、専用の舌ブラシやハブラシを、鏡を見ながら舌の「奥から手前」に軽い力で動かして掃除します。

舌は思いっきり前に出すのがコツ。1日1回、朝に行うことがおすすめです。
自分の口臭が気になること、ありませんか?
日本人の約8割が口臭を気にしているという結果がライオンの研究で出ています。健康な人の口臭(生理的口臭)は、舌についた汚れである舌苔(ぜったい)が主な原因といわれています。口臭を防ぐためには、毎日の歯みがきで口の中を清潔に保つことがもちろん基本ですが、舌も掃除をして「舌苔」を取り除くことが大切です。
「舌苔」は細菌のかたまり
舌苔は、細菌や食べかす、はがれた粘膜などが舌の表面に付着してできた白い苔状のかたまりです。舌の表面には舌乳頭(ぜつにゅうとう)という細かい突起がたくさんあり、この中に食べかすや口の中ではがれた粘膜がたまり、細菌のすみ家になっています。
舌苔のつき方は人によって様々です。舌の一部だけにつく人、舌全体に広がってつく人、奥の方だけに厚くつく人など、舌苔の付着する範囲や量は人によって異なります。また、同じ人でもその時の体調などによって、舌苔が多くつく時と、あまりつかない時があるようです。
舌苔(ぜったい)には、口腔内の細菌・食べかす・剥がれた粘膜などが絡み合って白く見える「バイオフィルム」が形成されています。主に 嫌気性菌(空気を嫌う菌) が多く、代表的なものには フソバクテリウム、プレボテラ、ポルフィロモナス などがあります。これらは舌の奥にたまりやすく、口臭の原因物質(VSC:揮発性硫黄化合物) を産生します。舌苔は毎日の舌清掃や水分補給で減らすことができ、清潔に保つことで口臭予防につながります。
VSCガスとは
VSC(揮発性硫黄化合物:Volatile Sulfur Compounds)とは、口臭の主な原因となる 硫黄を含むガス の総称です。代表的なものは
硫化水素(卵の腐ったにおい)、
メチルメルカプタン(野菜が腐ったにおい)、
ジメチルサルファイド(甘くむっとするにおい) の3種類。
これらは舌苔や歯周ポケット内の 嫌気性菌がタンパク質を分解する際に発生 します。特に舌の奥にたまった舌苔が最大の発生源とされ、舌清掃や歯周病ケアで減らすことができます。
舌磨きの方法
舌磨きの正しい方法を紹介します。舌の汚れ(舌苔)は口臭や味覚の低下の原因となるため、適切なケアが重要です。
1. 舌ブラシまたはやわらかめの歯ブラシを使用

• 舌専用のブラシやスクレーパーが理想ですが、ない場合は毛先がやわらかい歯ブラシでも可。
2. 朝の歯磨き後に行う
• 舌苔は寝ている間にたまりやすいため、朝のケアが効果的。
3. 鏡を見ながら、奥から手前に優しくこする
• 舌の奥に汚れが溜まりやすいので、奥から前に向かって軽くこする。
• 強くこすりすぎると舌を傷つけるので注意。
4. 1~2回で十分(やりすぎ注意)
• 強く何度もこすると舌の粘膜が傷つき、かえって汚れがつきやすくなる。
• 1日1回程度でOK。
5. 水または口をすすいで終了
• 洗口液(ノンアルコールのものがベター)で仕上げると、さらに口臭予防に効果的。
注意点
- 舌が赤く傷ついたり、痛みがある場合はすぐに中止する。
- 白い舌苔が厚く取れにくい場合は、全身の健康状態をチェックすることも大切(例:胃腸の不調、脱水など)。
- 口臭の原因が舌苔ではない場合もあるため、気になる場合は歯科医院で相談を。
- 舌磨きは適度に行い、舌を傷つけないようにすることがポイントです。
