セラミック治療
セラミック治療とは
セラミック治療とは セラミック治療とは、むし歯などで失った歯質を天然歯と同じ色・質感のセラミックで補う治療法です。 歯並びや歯の形態の改善などの治療時に行います。
セラミック(陶材)を用いた被せ物や詰め物を使った治療を指します。 セラミックは陶器や医療機器などさまざまな用途に使われており、歯との相性も非常に良い素材です。 ナチュラルな色調の人工歯の作成が可能で、審美性に大変優れています。
一般的なセラミックの特性と用途には次のようなものがあります。
耐熱性: 高温に耐える能力があります。
絶縁性: 電気を通さない性質を持ちます。
耐摩耗性: 表面の摩耗や摩擦に強い性質を持ちます。
化学的安定性: さまざまな化学的環境に対して耐性があります。
セラミックは健康保険が使用出来ません
セラミック治療が健康保険の適用外となる理由は、大きく分けて2つの点があります。
審美性を重視した治療であること
- 健康保険の目的: 健康保険は、病気やケガによる健康上の問題を治療し、日常生活を送る上で必要な機能を回復させることを目的としています。
- セラミック治療の目的: セラミック治療は、歯の色や形を美しく整え、見た目を良くすることを主な目的としています。
- 必要最低限の治療ではない: 健康保険が適用されるのは、健康上の問題を解決するために最低限必要な治療に限られます。セラミック治療は、審美性を重視した治療であり、必ずしも健康上の問題を解決するために必要な治療とはみなされないため、保険適用外となります。
材料費が高いこと
- セラミックの材料費: セラミックは、高品質で耐久性のある素材ですが、その分材料費が高額です。
- 保険負担の軽減: 健康保険は、国民全員が利用できる制度であり、保険料の負担を軽減するために、治療費の範囲が定められています。
- 自由診療: セラミック治療は、自由診療と呼ばれる患者負担の治療となり、全額自己負担となります。
歯のセラミック治療の利点と欠点
銀歯は口を開けた時に目立ってしまうため、歯を白くしたいという方は多いのではないでしょうか。特に、セラミックの歯は色やツヤが自然歯に近いため、前歯のような審美性が求められる治療に適しています。
セラミック治療のメリット
- 美しい歯: 自然な歯の色や形に近づけることができます。
- 耐久性が高い: 金属と比較して、変色しにくく、耐久性が高いです。
- 金属アレルギーの心配がない: 金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がありません。
- 歯の寿命を延ばす: 歯の破損や変色を防ぎ、歯の寿命を延ばすことができます。
セラミック治療のデメリット
- 高額な費用: 金属の治療法と比較して、費用が高い傾向があります。
- 歯を削る必要がある: 治療内容によっては、歯を削る必要があります。
- 再治療の可能性: すべての治療法に当てはまりますが、再治療が必要になる場合があります。
セラミック治療の種類
ジルコニア治療
一般的なジルコニアはダイヤモンドの代わりとして使われるほど、硬く、透明感のあるものです。
歯科用のジルコニアは同じような成分で白く、硬く、柔軟性のある材料に改良されたものです。今までのセラミックでは強度不足だったので、金属が使われていましたが、奥歯の被せ物のジルコニアクラウンやジルコニアブリッジができるようになりました。
そのため、現在ではほぼすべての治療が金属を使わずに行うことができます。ジルコニアは口の中で安定しているため変色や劣化を起こしません。口の中は酸性、アルカリ性、熱い、冷たいなど多くの環境に置かれます。ジルコニアは安定した材料のため環境の変化にも、長期間安定して口の中で機能します。
【メリット】
- 割れることがほとんどない
- ブリッジなどにも使用可能
- 奥歯の治療に向いている
- 金属より丈夫で軽い
【デメリット】
- 素材がとても硬いので、かみ合う天然歯が傷つく可能性がある
- 透明感が少ない
ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックは、現在あるセラミック治療のうち最も強度がある治療法です。現在では改良が進んでいるため従来の透明感がないジルコニアというイメージは過去のものになり現在ではかなりの透明感を持ったジルコニアが製造されています。当院では現在ノリタケ社製のKATANA・ストローマン社の桜ジルコニアを使用しております。
KATANAは使用する部位などに応じて複数のタイプが製造されています。
- UTML=高い透光性を有している。強度が強い。前歯部で使用
- STML=透光性と高い強度のバランスが良いもの。大臼歯で使用
- ML=高い機械的強度を持つためブリッジの製作に使用
- むし歯・歯周病に対する抵抗性=強い(銀歯より汚れが付きづらい)
- 耐変色性=変色は全くおこらない
- 強度=とても強い材料のためかけたりすることがほとんどない
E-MAX治療(350MPa)
近年開発された、二ケイ酸リチウムガラスを主成分とする新しいセラミック素材で、強度が高いことが特徴です。e-maxは強度と審美性を兼ね備えた素材で、インレーやクラウン、ラミネートベニアなどの治療に対応しています。
【メリット】
・耐久性が高いのでスポーツなど激しい動きをする方などに合った素材といわれている
・柔らかさも兼ね備えているので周りの歯を傷つける可能性が低い
・比較的安価
【デメリット】
・長く使っていると歯の変色が起こる可能性がある
・歯の状態によっては使用できない場合もあるので相談が必要
セレック治療(160MPa)
通常のセラミック歯科技工物は、歯科技工士がセラミックを何層も足すことで作製されます。セレック治療セラミックブロックを歯科用ミリングマシン(自動切削機)で直接削り出すので、高い強度の修復物が作製できます。ドイツの研究データによると、セレック治療の修復物の残存率は通常よりも20%以上高く、95%を超えています。コンピュータ制御で作製された高精度で耐久性に優れたセレック治療は、健康な歯を長く保ちたいという想いをかなえます。
*従来のセラミックの強度は80MPa、人間の歯の強度は140MPaと言われています。
【メリット】
- 金属を使わないため金属アレルギーの方にも使用できる
- 透明感がある
- 自然に近い色合いでほとんど変色もしないため、セラミック自体が欠損しない限り白い状態を保つことができる
【デメリット】
- 保険適用外のため費用がかかる
- 耐久性が重要な奥歯には不向き
ハイブリットセラミック
ハイブリッドセラミックは、セラミックの審美性とプラスチックのやわらかさ兼ね備えた材料です。今から10年ほど前は歯とおなじようにすり減ってくれるため、かみ合わせに優しいと言われ多く使用された時代もありました。しかしプラスチックを含んでいるせいで表面が多孔性であるために、プラークなどの細菌が付着しやすいという欠点があり、当院では使用しておりません。
- むし歯・歯周病に対する抵抗性=中程度(銀歯よりすこし劣る)
- 耐変色性=経年的に変色していくためあまりお勧めできない
- 強度=強い力で割れたりかけたりする可能性がある
- 硬さ=天然歯より少し柔らかいため削れやすい。
セラミック治療の流れ
セラミック治療は、歯の状態や希望する治療内容によって多少異なる場合がありますが、一般的には以下の様な流れで行われます。
-
カウンセリング
- 歯科医師と、治療の目的、希望する歯の色や形、予算などについて詳しく相談します。
- 歯の状態を詳しく検査し、レントゲン撮影などを行う場合もあります。
- 他の治療法との比較や、メリット・デメリットについて説明を受けます。
-
歯の表面の処理
- 治療内容によって異なりますが、一般的には歯の表面を少し削ります。
- ラミネートベニアの場合は、歯の表面を薄く削ります。
- オールセラミッククラウンの場合は、歯を削ってセラミックの被せ物を被せるための土台を作ります。
-
歯型採取
- 削った歯に、型取り用の材料を詰めて歯型を取ります。
- この歯型をもとに、セラミックの補綴物が作られます。
-
仮歯の装着(場合により)
- 本物のセラミックが完成するまでの間、仮歯を装着する場合があります。
- 仮歯は、見た目を一時的に改善し、歯を守る役割があります。
-
セラミックの装着
- 歯科技工所で作られたセラミックの補綴物を、歯に接着します。
- 接着剤でしっかりと固定し、密着度を高めます。
-
調整
- 噛み合わせや、歯の色、形などを調整します。
- 必要に応じて、再度、歯型を採ってセラミックを修正する場合もあります。
各治療法の特徴と治療の流れの違い
-
オールセラミッククラウン
- 歯全体をセラミックで覆うため、歯の強度を高めたい場合や、歯の色が大きく変わっている場合に適しています。
- ラミネートベニアよりも歯を削る量が多くなりますが、耐久性が高く、自然な見た目が得られます。
-
ジルコニアクラウン
- 高強度なジルコニア素材を使用するため、耐久性、強度が非常に高く、変色しにくいのが特徴です。
- ラミネートベニアやオールセラミッククラウンと同様に、歯を削ってセラミックの被せ物を被せる治療法です。
治療期間
治療期間は、治療内容や歯の状態によって異なります。一般的には、カウンセリングから最終的な調整まで、数回に分けて行われます。