メタルボンドとは
メタルボンドの正式名称は「陶材焼付鋳造冠」で、歯の土台に合わせて金属を鋳造し、その外側の見える部分にのみセラミックを使用する被せ物のことです。「メタルボンド」とは、100%セラミック製ではなく、内側の見えない部分(フレーム)に金属を使用しており、外側の見える部分にセラミックを使用している被せものです。

「メタルボンド(Metal Bond)」という名称の由来は、金属(メタル)と陶材(セラミック)を高温で焼き付けて強固に結合(ボンディング)させる技術にあります。
詳しい理由は以下の通りです。
- メタル(金属)+ボンド(接着・焼付) 「ボンド(bond)」とは英語で「接着」や「結合」を意味します。 メタルボンドクラウンとは、金属フレーム(主に貴金属や卑金属)に陶材(ポーセレン)を高温で焼き付けることにより、強力な化学的・機械的結合を得ていることからこの名前がつきました。
- 強力な結合力を強調した呼び名 セラミックが金属フレームにしっかりと焼き付けられているため、破折や脱離が起こりにくく、高い強度と信頼性を持つことが特長です。
- 正式名称との関係 正式には「陶材焼付鋳造冠」(Porcelain fused to metal crown:PFM)という名称ですが、日本では「メタルボンド」という略称が広く使われています。
メタルボンドのメリット
- 適合精度が高い
- 強度が非常に高い
- 適合精度が高い
- 審美性に優れている
- ロングスパンでの使用が可能
- 保険の歯のように時間とともに変色しません
- 汚れが付着しにくいため、歯周病や2次むし歯になるリスクが低くなります
- 中身が金属なので割れにくく、ほとんどの部位に使用できます
- 強度があるために奥の歯にも使用可能です
- 中身の金属に貴金属を使用すれば、金属が溶け出すことによる歯ぐきの変色、金属アレルギーなどが起こる可能性が低くなります


金属フレームの外側にセラミックを焼きつけた素材です。表面がセラミックなので汚れがつきにくく、天然歯と似た色調を再現できます。強度が高く割れにくいため、奥歯の使用に向いています。ただし、金属アレルギーのリスクがあり、セラミックなどに比べて透明感もやや劣ります。
メタルボンドのデメリット
- 健康保険適用外(自由診療)
- 色調はジルコニアやオールセラミッククラウンに劣ります
- オールセラミックのような透過性がありません
- 将来的に歯茎が下がって、歯と歯茎の境目が見えてくることがあります
- 金属アレルギーリスクがある
- 裏側から金属が見える可能性がある
- ポーセレンが欠ける可能性がある

メタルボンドは最近はあまり使われなくなっています
近年、メタルボンドは使用頻度が減少してきています。その主な理由は以下の通りです。
- 審美性の問題 メタルボンドは金属の裏打ちがあるため透明感が出しにくく、歯茎との境界部で金属色が透けて黒く見える場合があります。そのため、特に前歯など審美性を重視する部位では敬遠されることが多くなっています。
- 金属アレルギーへの懸念 金属アレルギーの患者さんが増加しており、メタルフリー素材の需要が増えています。
- ジルコニアやe-maxなどの新素材の普及 最近はジルコニアやe-max(二ケイ酸リチウムガラスセラミック)など、強度・審美性・生体親和性に優れた素材が普及し、こちらが主流となっています。
- CAD/CAM技術の普及 CAD/CAM技術による短期間での精度の高い補綴物の製作が可能となり、メタルボンドに比べて迅速かつコストパフォーマンスの良い素材が選ばれる傾向があります。
ただし、メタルボンドも長年の実績があり、強度や信頼性が求められるブリッジや奥歯の咬合力がかかる部分では、現在でも一部使用されています。