親知らずとは|あきる野市きらら歯科
親知らずは、永久歯の中で最も奥に生える歯です。正式には「第三大臼歯」または「智歯」(ちし)と呼ばれ、一般的には10代後半から20代頃に生えてきます。
ただし、親知らずはすべての人に生えるわけではありません。もともと存在しない方もいれば、歯ぐきや顎の骨の中に埋まったままの方、斜め・横向きに生える方もいます。

親知らずの基本
親知らず(第三大臼歯)は、通常は上下左右に1本ずつ、合計4本あります。ただし、実際には個人差がかなり大きく、「4本すべてある人」ばかりではありません。
一般的な日本人の傾向としては、
- 4本ある人:約30〜40%
- 1〜3本ある人:約40〜50%
- 1本もない人:約10〜20%
程度とされています。
親知らずが生える年齢の目安
- 15〜17歳頃:歯ぐきの中で形成が始まる(まだ見えない)
- 17〜20歳頃:生え始めることが多い
- 20〜25歳頃:完全に生えそろうケースが多い
なぜこの年齢で生えるのか
親知らずは永久歯の中で最後に形成・萌出する歯で、成長がある程度終わる頃に出てくる「親に知られずに生える」ことが名前の由来です。
- 生える時期:10代後半〜20代前半が多い
- 場所:いちばん奥(前歯から数えて8番目)
- 名前の由来:昔は親が子の成長を知らない頃に生える、という説から
臨床的に重要なポイント(歯科的視点)
- 18〜25歳が抜歯のベストタイミング
- 骨が柔らかい
- 治癒が早い
- 30歳以降は
- 骨が硬くなる
- 合併症(腫れ・治りにくさ)が増える
なぜトラブルが起きやすい?
親知らずは歯列の一番奥にあるため、歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすい歯です。さらに、生えるためのスペースが不足していると、次のような状態になります。
- 斜め向きに生える
- 横向きのまま骨の中に埋まる
- 歯の一部だけが歯ぐきから出る
- 歯ぐきに覆われたままになる
- 手前の第二大臼歯に接触する
特に、親知らずの一部だけが歯ぐきから見えている「半埋伏(はんまいふく)」の状態では、露出した歯の上に歯ぐきが部分的にかぶさっています。この手前の歯と親知らずの間には、通常の歯磨きでは清掃しにくい深い隙間ができるため、食べかすや歯垢がたまりやすくなります。


その結果、細菌が増殖して親知らず周辺の歯ぐきに炎症が起こることがあります。これを「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」といいます。
親知らずの起こすトラブルとは
親知らずは、生えてくるためのスペースが不足している場合、手前の歯を押しながら斜めや横向きに生えてくることがあります。その結果、歯並びや噛み合わせが乱れる原因となることがあります。
また、親知らずはお口の一番奥に位置するため、歯ブラシが届きにくく、磨き残しが起こりやすい歯です。そのため、虫歯や歯周病になりやすいという特徴があります。
特に、親知らずが虫歯になると、位置や形態の問題から治療が難しく、再発しやすい傾向があります。


1.親知らず周辺の痛み・腫れ
親知らずの周囲に細菌が入り、歯ぐきに炎症が起こる状態を「智歯周囲炎」といいます。
初期には親知らず周辺の違和感や軽い痛みがみられ、悪化すると次のような症状が現れます。
- 歯ぐきが赤く腫れる
- 噛むと痛む
- 膿が出る
- 口臭や不快な味がする
- 口が開きにくくなる
- 顎の下のリンパ節が腫れる
- 顔や頬まで腫れる
- 発熱や全身のだるさが出る
炎症が周囲の組織に広がると、顔の腫れや開口障害を起こすことがあります。日本口腔外科学会
2.親知らずのむし歯
親知らずは歯ブラシが届きにくいため、むし歯になりやすい歯です。治療器具も届きにくく、生え方によっては通常のむし歯治療が難しい場合があります。
3.手前の歯がむし歯・歯周病になる
斜めに生えた親知らずと手前の歯との間には汚れがたまりやすくなります。その結果、親知らずだけでなく、噛み合わせに重要な第二大臼歯までむし歯や歯周病になることがあります。
親知らずを放置したことで、残すべき手前の歯まで大きく損傷してしまう場合があるため、早めの確認が重要です。
4.手前の歯の根が吸収される
横向きの親知らずが手前の歯に強く接触していると、第二大臼歯の根が吸収されることがあります。初期には自覚症状がほとんどなく、レントゲン検査で初めて発見されることもあります。
5.嚢胞ができる
骨の中に埋まった親知らずの周囲に、液体を含んだ袋状の病変である「含歯性嚢胞」ができる場合があります。無症状で進行することもあり、レントゲン撮影で偶然発見されるケースもあります。日本口腔外科学会
6.噛み合わせへの影響
上下どちらか一方の親知らずだけが生えていると、噛み合う歯を求めて伸び、反対側の歯ぐきや頬を傷つけることがあります。
なお、「親知らずが前歯を押して歯並びを必ず悪くする」とは一概にいえません。歯並びには顎の成長、舌や唇の力、歯周組織など、複数の要因が関係します。
親知らずはすべて抜く必要がある?
親知らずがあるという理由だけで、必ず抜歯する必要はありません。正常に生えて機能し、清掃もできている場合は、経過観察できることがあります。
抜歯を検討したほうがよいケース
- 痛みや腫れを繰り返している
- 親知らずがむし歯になっている
- 手前の歯に悪影響が出ている
- 横向き・斜め向きで汚れがたまりやすい
- 清掃が困難で、将来的なトラブルが予想される
- 親知らずの周囲に嚢胞などの病変がある
- 矯正治療やほかの治療上、抜歯が必要と判断された
- 噛み合う歯がなく、歯ぐきや頬を傷つけている
抜かずに経過観察できるケース
- まっすぐ正常に生えている
- 上下の親知らずが正しく噛み合っている
- 歯ブラシが届き、清潔に保てている
- むし歯や歯周病がない
- 手前の歯や周囲の骨に悪影響がない
- 骨の中に完全に埋まり、病変や症状が認められない
- 全身状態などを考慮すると、抜歯の負担が大きい
経過観察する場合も、定期的なレントゲン検査や歯科検診が必要です。
親知らずの抜歯のベスト年齢は「16〜25歳」
これは単なる経験則ではなく、複数の研究・ガイドラインでほぼ一致しています。なぜなら若い方ほど骨が柔らかいのと治癒が良好なので回復が早いのです。

◎ 最適年齢
- 16〜25歳(特に18〜22歳)

理由
- 根が未完成(2/3程度)
- 骨が柔らかい
- 神経との距離が比較的安全
- 治癒が早い
➡ 若年での抜歯は「安全・簡単・回復が早い」
30代以降は骨が堅くなります
30代以降になると「あごの骨が硬くなる」と言われるのは、単純に骨の硬度だけが増すというより、骨の代謝や柔軟性が若い頃より低下するためです。若年者の骨は新陳代謝が活発で、血流も豊富なため比較的しなやかですが、年齢とともに骨の入れ替わりのスピードが落ち、骨が緻密で硬い性質へ変化していきます。特に親知らずの抜歯で問題になりやすい下あごは、加齢により外側の硬い皮質骨が厚くなり、歯を支える骨全体がしっかりしてくるため、若い頃より抜歯が難しくなります。
親知らずを抜く流れ

1.診察・画像検査
親知らずの位置、炎症の有無、神経や血管との関係、持病、服用中の薬などを確認します。
強い炎症や腫れがある場合は、洗浄や投薬などで炎症を落ち着かせてから抜歯することがあります。
2.局所麻酔
歯ぐきに局所麻酔を行います。麻酔が十分に効いていれば、処置中の鋭い痛みは通常抑えられますが、歯を押される感覚や振動を感じることはあります。
3.親知らずの抜歯
まっすぐ生えている親知らずは、通常の抜歯と同様に取り出せる場合があります。
横向きや骨の中に埋まっている場合は、必要に応じて次の処置を行います。
- 歯ぐきを切開する
- 親知らずを覆う骨を必要最小限削る
- 歯を数個に分割する
- 分割した歯を順番に取り出す
- 抜歯部を洗浄する
- 必要に応じて縫合する
4.止血
ガーゼを一定時間噛んで止血します。縫合した場合は、通常後日抜糸を行います。
抜歯後の痛みや腫れ
抜歯後の症状には個人差があります。一般的に、まっすぐ生えた上顎の親知らずより、骨の中に埋まった下顎の親知らずのほうが、腫れや痛みが出やすい傾向があります。
腫れは処置直後よりも翌日以降に目立つことがあります。数日をピークに、その後徐々に改善していくのが一般的です。
抜歯後の注意事項
- ガーゼは指示された時間、しっかり噛む
- 当日は強いうがいを繰り返さない
- 抜歯した部分を舌や指で触らない
- 当日は飲酒・激しい運動・長時間の入浴を控える
- 麻酔が切れるまでは頬や舌を噛まないよう注意する
- 熱いものや刺激の強い食事を避ける
- 処方された薬は指示どおり服用する
- 喫煙は傷の治りを遅らせるため控える
- 傷口を避けながら、ほかの歯は清潔に保つ
血のかたまりは、傷口を守る重要な役割を持っています。強いうがいを何度もすると血のかたまりが失われ、治癒が遅れることがあります。
今痛いのですがすぐ抜いてもらえますか?
親知らずの状態(炎症の程度、歯の形や生え方・向きなど)によっては、当日に抜歯が可能な場合と、先に投薬や応急処置を行い、炎症が落ち着いてから改めて抜歯を行う場合があります。
また、予約状況により十分な診療時間を確保できない場合や、夜間診療の時間帯などでは、当日は応急処置や投薬治療を行い、後日あらためて抜歯のご案内となることがあります。あらかじめご了承ください。
なお、上顎の親知らずにつきましては、重度の炎症が認められない場合には、当日に抜歯できることが多いです。


下顎の親知らずは、炎症が強く出やすいことや、歯の形・生え方(向き)の問題により処置に時間を要しやすいことなどから、まずは投薬治療や応急処置を優先するケースが多くなります。
また、親知らずの状態や全身状況、処置の難易度によっては、阿伎留医療センター、東京西徳洲会病院、東京医科歯科大学附属病院などの高度医療機関へご紹介させていただく場合があります。
親知らずは、抜いたほうが良いのでしょうか
「親知らず」は抜いたほうがいいという話をよく耳にすると思います。 実際、歯医者さんの中でも、「親知らず」は抜くという方針の方もいらっしゃいますが、正常に生えていて一本の歯として機能していれば、抜歯の必要はありません。


一本でも歯が多いほうが、噛むことがしっかりできますし、もし仮に、一本前の歯がなくなった時には、ブリッジや入れ歯の台に使うことができます。 しかし、「親知らず」が正常に生えていない場合や、顎や他の歯に悪影響を与える場合は抜歯が必要となります。
親知らずを抜いた方がよい理由
親知らずは、生え方によって歯ブラシが届かない部分ができやすく、その結果、虫歯や歯周病になりやすい歯です。
また、親知らずが虫歯や歯周病になると、手前の健康な歯にまで悪影響が及ぶことがあります。
一度治療を行っても、清掃が十分にできない状態が続くため、再発を繰り返しやすいという特徴もあります。


さらに、
- 痛みや腫れなどの症状が出ている場合
- 歯並びや噛み合わせに悪影響を与えている場合
には、抜歯を行わない限り根本的な解決が難しいケースが多くなります。
そのため、
「親知らずは抜いた方がいいと聞いたことがある」
という方が多いのは、親知らずが痛みやさまざまなトラブルの原因になりやすい歯だからです。
斜めに生えている親知らずは抜歯をおすすめします
特に、まっすぐ生えず斜めや横向きに生えている親知らずや、腫れや痛みを繰り返している親知らずについては、抜歯が最も確実な治療法となることが少なくありません。
一度抜歯を行えば、その後一生親知らずのトラブルに悩まされる心配がなくなるという大きなメリットがあります。
一方で、親知らずだからといって必ず抜かなければならないわけではありません。
抜歯には必ず一定のリスクが伴い、頻度は低いものの、神経の近くにある場合には神経麻痺などのリスクが生じる可能性もあります。
そのため、
「すぐに抜きましょう」
と安易に判断するのではなく、歯の位置・向き・神経との距離などを正確に診断したうえで、適切な対応を選択することが重要です。


若いうちに親知らずが虫歯になっている場合
若い方で親知らずがすでに虫歯になっている場合、きらら歯科では基本的に抜歯をおすすめしています。
親知らずが生えてくるのは多くの場合18~20歳頃です。それにもかかわらず、数年のうちに虫歯になってしまうということは、その場所がとても磨きにくく、虫歯になりやすい環境にあるということを意味します。そのような歯を、これから50年・60年と長く良い状態で保っていくのは現実的に難しいことが多いのです。
もちろん、今後とても丁寧に歯磨きを続けたり、定期的なクリーニングを徹底することで進行を抑えられる可能性もあります。しかし実際には、同じ場所で再び虫歯や腫れを繰り返し、後になって痛みが出てから抜歯が必要になるケースが少なくありません。
また、年齢を重ねるほど骨が硬くなり、抜歯の難易度が上がります。
そのため、比較的回復が早く、抜歯もスムーズに行いやすい若いうちの処置をおすすめしています。
患者様のご希望やご不安に寄り添いながら、状態をしっかりご説明したうえで方針を一緒に決めていきますので、どうぞ安心してご相談ください。
きらら歯科ではCTを完備しており、親知らずの状態を立体的に確認したうえで、安全性に配慮した診断・抜歯を行っています。
親知らずでお悩みの方は、どうぞ安心してご相談ください。
親知らずの抜歯の費用保険診療の場合
親知らずの抜歯は、多くの場合保険適用で行うことができます。
3割負担の場合、おおよそ3,000円~10,000円程度を目安にご準備いただければと思います。
この金額には、
- 初診料・再診料
- レントゲン撮影
- 必要に応じたCT撮影
- 抜歯処置料
などが含まれます。
ただし、親知らずの生え方や難易度、処置内容によって費用が前後することがあります。事前にしっかりご説明いたしますので、ご不明な点はお気軽にお尋ねください。
- 単純抜歯(まっすぐ生えている親知らず):3,000円~5,000円
- 埋伏歯抜歯(歯茎や骨に埋まっている親知らず):5,000円~10,000円
- 難抜歯(水平埋伏歯や骨の深い位置にある場合):7,000円~15,000円
- 症例によっては大学病院や口腔外科の紹介になることもあります。
抜歯などの処置は、出血を伴う 観血的処置となる場合があります。 そのため、処置後の出血や体調変化などにも十分対応できるよう、 院内の診療体制に余裕のある日中の時間帯を 推奨しております。
夜間は、抜歯などの観血的処置を行った後に出血や体調変化が
生じた場合の対応を考慮し、
緊急性のない外科処置については日中の受診をお願いする場合があります。
痛みや腫れが強い場合などは、まず診察を行い、
症状に応じて応急処置や適切な処置をご案内いたします。
親知らずを抜くときは痛いのですか?
親知らずを抜く際には、まず歯ぐきに表面麻酔を塗り、その後に局所麻酔を行います。
麻酔がしっかり効いた状態で処置を進めますので、基本的に痛みは感じません。ただし、麻酔をしていても「押されている感じ」「触られている感覚」は残りますので、まったくの無感覚になるわけではありません。
抜歯後は、外科的な処置を行っているため、数日間ほど痛みが出ることがあります。そのため当院では、痛み止めと抗生物質を処方しています。多くの場合、眠れないほどの強い痛みが出ることはありませんが、骨を削って抜歯した場合などは、痛みがやや強く出ることもあります。その際は遠慮なく担当歯科医師にご相談ください。
また一般的に、
- 上あごの親知らず:比較的抜きやすく、術後の痛みも軽いことが多い
- 下あごの親知らず:抜歯がやや大変で、術後の痛みや腫れが出やすい
という傾向があります。患者様の状態に合わせて、安全を最優先に処置を行いますので、ご不安な点は何でもお伝えください。
できるだけ歯を抜きたくないのですが、治療方針を教えてください。
「できるだけ親知らずを抜きたくない」というお気持ちには、きらら歯科ではできる限り寄り添いたいと考えています。
当院では、無理に抜歯を勧めたり、強引に処置を進めることはありませんので、どうぞご安心ください。
ただし、現在の状態が
- 抜いた方が将来的に安心なのか
- そのまま残しても問題ないのか
については、歯科医師として専門的な立場から丁寧にご説明・アドバイスをさせていただきます。
そのうえで、抜くか抜かないかの最終的な判断は、患者様ご自身のお気持ちを大切に決めていただければと思います。
ご不安な点や迷っていることがあれば、どんな小さなことでも遠慮なくご相談ください。
まとめ
親知らずは、必ず抜かなければならない歯ではありません。しかし、痛みや腫れを繰り返す場合や、手前の大切な歯に悪影響を与えている場合は、早めの抜歯が望ましいことがあります。
症状がなくても、横向きの親知らずや骨の中に埋まった親知らずでは、知らないうちにむし歯・歯周病・歯根吸収・嚢胞などが進行することがあります。一度レントゲン検査を受け、親知らずの状態と将来的なリスクを確認しておくことが大切です。
