矯正治療におけるヘッドギア(Headgear)の使い方を簡潔にまとめます。
ヘッドギアとは?
ヘッドギアは矯正治療で使用する顎外固定装置の一つで、主に上顎の奥歯(大臼歯)を後方へ移動させたり、動かないよう固定する目的で使います。
使い方(装着手順)
1. 口腔内の装置と連結
• 奥歯に取り付けたバンドやチューブにインナーボウ(金属のアーチ)を差し込みます。
2. 頭部に装着
• 頭の後方や首の後ろに取り付けたヘッドキャップやネックストラップとインナーボウを連結します。
3. 適切な力を設定
• 医師の指示に従い、力の強さをゴムやストラップで調整します。適切な強さは約200〜450gが一般的です。
4. 装着時間
• 通常、就寝時を中心に毎日10~14時間程度装着します。
使用時の注意点
- 医師が指定した装着時間を守る。
- 強い痛みや違和感がある場合は力を弱めるために担当医に相談する。
- 歯磨き時は外して清掃を行う。
ヘッドギアは患者の協力度で治療効果が大きく変わるため、十分な説明と動機付けが重要です。
マイクロインプラントがヘッドギアより多用される理由
近年はヘッドギアの代わりに、マイクロインプラント(アンカースクリュー、TAD)が広く使用されています。
患者の協力度に左右されない
ヘッドギアは装着時間や患者の協力度に結果が左右されますが、マイクロインプラントは口腔内に固定するため安定した効果が得られます。
審美的・心理的負担の軽減
頭の外に装置を装着する必要がなく、目立ちにくく心理的負担が少ないため、患者の抵抗感が軽減されます。
歯の移動効率が高い
より確実で効率的に歯を後方移動させることができ、治療期間も短縮可能です。
現在の臨床の傾向
- マイクロインプラントが主流となり、ヘッドギアの使用頻度は減少しています。
- ただし、成長期の患者で骨格的な問題がある場合や、マイクロインプラントが使えない特別なケースでは今でもヘッドギアを併用することがあります。
- 近年では、患者の負担軽減や効率性から、マイクロインプラントが広く採用されるようになっています。