
セラミック治療の利点と欠点
セラミック治療の利点
見た目が美しい

白さや透明感も調節可能なため、より自分の歯の色に近い自然な白さを再現できます。
そのため天然の歯と比べても違和感がなく、自然な笑顔で笑うことができます。自信を持って笑えるようになったという患者さんが多いです。
虫歯が再発しにくい

銀歯やレジン充填という詰め物はセラミックと比較するとプラークも付着しやすいため虫歯が再発しやすい欠点があります。ツルツルしていることから素材的にプラークも付着しにくく、唾液で汚れが流れやすいです。そのため新たな虫歯の再発を防ぐことができます。
長持ちしやすい

また保険の歯のように変色したり着色することもほとんどありません。
セラミックに限らず、詰め物や被せ物の寿命は毎日のケアに大きく左右されます。
しかしきちっと毎日の歯磨きや定期健診などのケアを行っている場合、保険診療の銀歯や詰め物に比べてセラミックは長持ちしやすくなっています。
金属アレルギーの心配がない

※銀歯は金属ですから、金属アレルギーの人は銀歯を使用することができませんが、セラミックは陶器ですから金属アレルギーの人でも安心して使用できます。
セラミック治療の分類
セラミック治療には、セラミックを使用したセレック治療・イーマックス治療および、二酸化ジルコニウムを使用したジルコニア治療の2種類があります。
※セラミック( ceramic)とは、陶磁器を指して用いられ、無機物を加熱処理し焼き固めた焼結体を指す。金属や非金属を問わず、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物などの無機化合物の成形体、粉末、膜など無機固体材料の総称として用いられている。純金属や合金の単体では「焼結体」とならないためセラミックスとは呼ばれない。
※ジルコニア(化学式:ZrO2)とは、ジルコニウムの酸化物、二酸化ジルコニウムの事であり厳密にはセラミックとは違うものです。耐熱性セラミックスの材料として利用されていて、割れないセラミックとして歯科領域で幅広く使用されています。
セラミック治療
セレック治療(160MPa)

通常のセラミック歯科技工物は、歯科技工士がセラミックを何層も足すことで作製されます。セレック治療セラミックブロックを歯科用ミリングマシン(自動切削機)で直接削り出すので、高い強度の修復物が作製できます。ドイツの研究データによると、セレック治療の修復物の残存率は通常よりも20%以上高く、95%を超えています。コンピュータ制御で作製された高精度で耐久性に優れたセレック治療は、健康な歯を長く保ちたいという想いをかなえます。
*従来のセラミックの強度は80MPa、人間の歯の強度は140MPaと言われています。
【メリット】
- 金属を使わないため金属アレルギーの方にも使用できる
- 透明感がある
- 自然に近い色合いでほとんど変色もしないため、セラミック自体が欠損しない限り白い状態を保つことができる
【デメリット】
- 保険適用外のため費用がかかる
- 耐久性が重要な奥歯には不向き
E-MAX治療(350MPa)
近年開発された、二ケイ酸リチウムガラスを主成分とする新しいセラミック素材で、強度が高いことが特徴です。e-maxは強度と審美性を兼ね備えた素材で、インレーやクラウン、ラミネートベニアなどの治療に対応しています。

【メリット】
・耐久性が高いのでスポーツなど激しい動きをする方などに合った素材といわれている
・柔らかさも兼ね備えているので周りの歯を傷つける可能性が低い
・比較的安価
【デメリット】
・長く使っていると歯の変色が起こる可能性がある
・歯の状態によっては使用できない場合もあるので相談が必要
ジルコニア治療
ジルコニア治療
一般的なジルコニアはダイヤモンドの代わりとして使われるほど、硬く、透明感のあるものです。歯科用のジルコニアは同じような成分で白く、硬く、柔軟性のある材料に改良されたものです。今までのセラミックでは強度不足だったので、金属が使われていましたが、奥歯の被せ物のジルコニアクラウンやジルコニアブリッジができるようになりました。そのため、現在ではほぼすべての治療が金属を使わずに行うことができます。ジルコニアは口の中で安定しているため変色や劣化を起こしません。口の中は酸性、アルカリ性、熱い、冷たいなど多くの環境に置かれます。ジルコニアは安定した材料のため環境の変化にも、長期間安定して口の中で機能します。
【メリット】
- 割れることがほとんどない
- ブリッジなどにも使用可能
- 奥歯の治療に向いている
- 金属より丈夫で軽い
【デメリット】
- 素材がとても硬いので、かみ合う天然歯が傷つく可能性がある
- 透明感が少ない
ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックは、現在あるセラミック治療のうち最も強度がある治療法です。現在では改良が進んでいるため従来の透明感がないジルコニアというイメージは過去のものになり現在ではかなりの透明感を持ったジルコニアが製造されています。当院では現在ノリタケ社製のKATANAを使用しております。
KATANAは使用する部位などに応じて複数のタイプが製造されています。
- UTML=高い透光性を有している。強度が強い。前歯部で使用
- STML=透光性と高い強度のバランスが良いもの。大臼歯で使用
- ML=高い機械的強度を持つためブリッジの製作に使用
- むし歯・歯周病に対する抵抗性=強い(銀歯より汚れが付きづらい)
- 耐変色性=変色は全くおこらない
- 強度=とても強い材料のためかけたりすることがほとんどない
- 硬さ=天然歯より硬いためすり減ることがない。すり減るとしたら噛み合う自分自身の歯
セラミック治療
当院で使用しているセラミックは高い強度を持つemaxを使用しております。
emaxは近年開発された、二ケイ酸リチウムガラスを主成分とする新しいセラミック素材で、ジルコニアには負けますが、セラミックとしては強度が高いことが特徴です。e-maxは強度と審美性を兼ね備えた素材です。
クラウンとして使用する際にe-maxを使用したクラウンは、クラウン全体の強度が高く、天然歯に限りなく近い透明感を持っています。
ハイブリットセラミック(当院では取り扱っていません)
ハイブリッドセラミックは、セラミックの審美性とプラスチックのやわらかさ兼ね備えた材料です。今から10年ほど前は歯とおなじようにすり減ってくれるため、かみ合わせに優しいと言われ多く使用された時代もありました。しかしプラスチックを含んでいるせいで表面が多孔性であるために、プラークなどの細菌が付着しやすいという欠点があり、当院では使用しておりません。
- むし歯・歯周病に対する抵抗性=中程度(銀歯よりすこし劣る)
- 耐変色性=経年的に変色していくためあまりお勧めできない
- 強度=強い力で割れたりかけたりする可能性がある
- 硬さ=天然歯より少し柔らかいため削れやすい。